2012 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病性腎症の新規バイオマーカー開発を目指した、単離糸球体のプロテオーム解析
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23591198
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
石村 栄治 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20145775)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梯 アンナ 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60382222)
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Keywords | プロテオミクス / 糖尿病性腎症 |
Research Abstract |
糖尿病性腎症は我が国の新規血液透析導入疾患の第一位であり、糖尿病性腎症の進行抑制が急務である。そのためには、糖尿病糸球体に発現する蛋白質の同定が必要で、糸球体組織を用いたプロテオミクスが注目されている。我々はまず、自然発症2型糖尿病モデル(OLETF)ラットの糸球体を単離しプロテオミクスを行った。糸球体上皮細胞の細胞骨格の維持に関与するsorbin and SH3 domain containing 2(SORBS2)が糖尿病糸球体で高発現していることを解明したが、SORBS2が糖尿病性腎症と関連のある蛋白質とは断定できなかった。そこで次に、剖検症例のホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)腎組織を用いてプロテオミクスを行った。糖尿病性腎症群と非糖尿病群において発現が変動していた蛋白質は100個有り、糖尿病性腎症群で高率に発現し、細胞外基質増加に関与するnephronectinを同定した。更に合計93例の糖尿病患者剖検例(腎症有り45例、腎症無し48例)に対し免疫染色を行い、nephronectinの発現と糸球体硬化度の関連につき検討したところ、nephronectin陽性糸球体の割合と糸球体硬化度との間には有意な正の相関関係を認め(ρ=0.881, p<0.0001)、nephronectinは糖尿病性腎症に関わる新規蛋白質であることを示した。Nephronectinは糖尿病性腎症の進行に関わる蛋白質の一つである可能性が高いと考えられる。また糖尿病診療において、従来の微量アルブミン尿や蛋白尿は必ずしも糸球体変化を反映しておらず、問題となってきた。Nephronectinは新たなバイオマーカー候補治療のターゲットになる可能性も有しており、今後検討が必要である。 現時点で糖尿病患者に関して血中および尿中nephronectin濃度測定を行っており、データの集積中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プロテオミクスの対象とした糖尿病性腎症剖検例10例以外にも、合計93例の糖尿病患者剖検例(腎症有り45例、腎症無し48例)に対し免疫染色を行いNephronectin陽性糸球体の割合と糸球体硬化度との間には有意な正の相関関係(ρ=0.881, p<0.0001)があることを証明できた。Nephronectinの発現が糖尿病糸球体に特異的であるか否かを検討するために190例の腎生検試料を用いて、Nephronectinの免疫組織学的染色を行い、全ての糸球体に対して、イメージアナライザーを用いてNephronectin陽性面積を算出し、疾患別にNephronectin陽性面積を比較検討した。糖尿病性腎症におけるNephronectin陽性面積15±4.7% (n=18) は、他の腎疾患におけるNephronectin陽性面積【IgA腎症;4.8±2.9% (n=46)、膜性腎症;6.0±3.9% (n=30)、微小変化群;4.1±2.0% (n=28)、膜性増殖性糸球体腎炎;7.0±5.7% (n=14)、ループス腎炎;4.0±3.0% (n=11)、急速進行性糸球体腎炎;7.6±3.4% (n=9)、巣状糸球体硬化症;4.5±3.3% (n=9)、高血圧性腎硬化症;8.1±4.7% (n=8)、その他;4.7±2.0% (n=17), p<0.05]より有意に高値であり、重回帰分析では空腹時血糖がNephronectin陽性面積の増加に関連していた(β=0.23、p<0.001)。以上よりNephronectinは糖尿病性腎症の進行に関与する新たな蛋白質であること、Nephronectinの免疫組織学的染色は組織学的な糖尿病性腎症診断に有用である事を示した。バイオマーカーとしての有用性の検討は現在症例を蓄積中である。
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Strategy for Future Research Activity |
当科入院中の、患者血清・尿サンプルを蓄積中である。また、血液・尿中Nephronectin測定は現在試験段階である。試験測定が終了した後、糖尿病患者血清・尿サンプルが回収されれば直ちに、ELISAキットを購入し、データを出す予定である。解析データはSPSSまたはJMP解析ソフトにて統計改正をを行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は最終年度でありNephronectin ELISAkitの購入費が主になる予定である。また、結果次第では国内外の学会発表および論文化する予定である。
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Research Products
(13 results)