2011 Fiscal Year Research-status Report
ANCA関連腎炎発症における好中球細胞外トラップおよび相補的MPOの役割の解析
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23591199
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
駒形 嘉紀 杏林大学, 医学部, 准教授 (60281995)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有村 義宏 杏林大学, 医学部, 教授 (40222765)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ANCA関連血管炎 / 好中球 / 糸球体腎炎 |
Research Abstract |
申請者らのグループはこれまで、MPO-ANCA関連血管炎にみられる糸球体腎炎においてMPO陽性細胞が糸球体毛細血管内皮に接着しその局所および近傍にMPOを放出することにより内皮障害を引き起こしていることを示してきた。MPO陽性好中球が放出する好中球細胞外トラップ (NETs)の内皮細胞障害および糸球体腎炎発症に果たす役割を解析するため、MPO-ANCA関連腎炎20例、他の病型の腎炎10例について糸球体の病理組織学的検討を行った。MPO-ANCA陽性の糸球体腎炎では、壊死性糸球体腎炎を呈し、膜性腎炎など他の病型を合併した場合でも壊死部付近にMPO陽性細胞の浸潤、糸球体毛細血管壁にMPOの局在を認めた。またMPO陽性部位に一致して、DNA染色も陽性となったことから、MPO陽性好中球が放出したNETsが内皮細胞障害に大きく関与していることが示唆された。一方、溶連菌感染後糸球体腎炎など、糸球体内に多数のMPO細胞浸潤を認める場合でも、係蹄壁壊死のない例では係蹄壁にMPOの沈着は認めなかった。また、ANCA関連血管炎患者血清中の様々な因子が、in vitroにおける好中球によるNETs産生に与える影響を調べるため、好中球を20nM PMAとともに2時間培養し、同時にANCA関連血管炎患および健常者の血清を培養液中に入れた上で、放出されるNETsを定量し、またNETs産生好中球の割合を解析した。全血清はPMAによるNETs産生を阻害することがわかったため、血清を様々なfractionに分離しそれぞれがNETs産生に与える影響を調べ、現在解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
好中球のNETs産生に対する影響を調べる培養系の確立に予想以上に時間がかかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、NETs産生を亢進する患者血清中の新しい因子の分析を中心に、当初計画にある腎生検サンプルを用いたマイクロダイセクション法によるMPO陽性細胞およびその近傍の遺伝子発現およびタンパク質の解析を同時に行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ANCA関連血管炎患者血清中に存在するNETs産生に与える因子を分離するための試薬等が、培養系の確立に予想以上に時間がかかったため今年度に購入することができず、翌年度以降への繰り越しとなった。それらの試薬に加え、マイクロダイセクション法および遺伝子発現やタンパク質解析に必要な試薬を購入していく。
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Research Products
(3 results)