2012 Fiscal Year Research-status Report
慢性腎臓病の血管石灰化発症機序における転写調節因子の役割の解明と治療への応用
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23591200
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
林 松彦 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (60129608)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 理 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (00306713)
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Keywords | 血管石灰化 / 慢性腎臓病 / NFkB / Klf4 |
Research Abstract |
慢性腎臓病の進展とともに動脈石灰化の形成・進行が認められる。石灰化病変は心血管系疾患を生じ、慢性腎臓病患者の予後を左右する最も重要な因子の一つであり、その発症機構解明は治療戦略をたてるうえで非常に重要である。本研究では、培養細胞および遺伝子改変動物を用いて、動脈石灰化に関わる転写因子の役割を検討している。 培養血管平滑筋細胞を用いた検討では、リン負荷による血管平滑筋細胞の骨様細胞への形質変換に転写因子Klf4が関与することを同定し報告した(Yoshida et al., J Biol Chem, 2012)。すなわち、リン負荷が、平滑筋分化マーカーであるSM alpha-actin、SM22alphaの発現を低下させ、骨細胞の分化マーカーであるosteopontin、alkaline phosphatase、Runx2の発現を亢進させ、これらの変化にKlf4が関与することを発見した。Klf4は、高リン血症をきたすアデニン負荷慢性腎不全モデル動物においても動脈石灰化部位に発現が認められ、慢性腎不全に伴う高リン血症が石灰化病変を形成するにあたって、重要な役割を果たしている可能性が示唆された。現在遺伝子改変マウスでの検討を加えている。 一方、炎症反応に重要なNFkB系の血管石灰化への影響を検討するため、血管平滑筋細胞特異的にNFkBを抑制するマウスの樹立を進めた。C57/BL6系マウスは血管石灰化に比較的抵抗性であることから、SM22alpha-Creマウス、dominant negative IkB floxedマウスを血管石灰化に感受性のあるCBA/2マウスに交配し、系統の変更を行った。現在、CBA/2系の血管平滑筋特異的NFkB抑制マウスの樹立が完成し、それらに5/6腎摘を行って血管石灰化の形成を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高リン負荷による血管平滑筋細胞の骨様細胞への形質変換に関与する転写因子を同定し、また、動脈石灰化感受性のCBA/2系遺伝子改変マウスを樹立できたという点で、平成24年度の計画は順調に進行したといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
Klf4の役割を生体内で明らかにするため、遺伝子欠損マウスをCBA/2系マウスとして樹立し、血管石灰化への影響を検討する。また、炎症反応に重要なNFkB経路の血管石灰化に対する役割を生体内で明らかにするため、血管平滑筋特異的NFkB抑制マウスの表現型を詳細に検討する。さらに、NFkB抑制薬を用いた動脈石灰化への影響の検討も並行して行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の多くは、細胞培養実験試薬代、分子生物学実験試薬代、免疫組織化学実験試薬代、動物飼育代に使われる。また、研究補助者への謝金にも使用する予定である。
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Research Products
(2 results)