2011 Fiscal Year Research-status Report
慢性腎臓病と心血管病の連関機序としてのアルブミン尿出現の分子機序の解明
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23591209
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
駒井 則夫 川崎医科大学, 医学部, 講師 (40368626)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏原 直樹 川崎医科大学, 医学部, 教授 (10233701)
佐藤 稔 川崎医科大学, 医学部, 講師 (70449891)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | アルブミン尿 / 活性酸素種 / 一酸化窒素 / 内皮細胞 / 糸球体 / 血管透過性 |
Research Abstract |
慢性腎臓病における糸球体内皮細胞の機能的・形態的変化の解析とアルブミン尿出現の解析(1)糸球体内皮細胞の形態的変化:Fenestrae、Glycocalyx層の変化等の解析 : 糸球体内皮細胞は有窓性で、その表面を50-100nm厚のGlycocalyx層が覆っている。これらをlanthanumやlectin (WGA,Isolectin B4等) を用いて電子顕微鏡及び蛍光顕微鏡で可視化可能となった。MetSモデルであるZucker obese ratを用いてアルブミン尿期にGlycocalyxが減少していることを見いだした。同モデル及び高食塩負荷Dahl食塩感受性ラット、5/6腎摘モデルラットにおけるGlycocalyx変化を解析した。さらに走査型電子顕微鏡を用いてアルブミン尿期における内皮Fenestraeの変化を解析した。PV-1は内皮細胞表面にカベオリン蛋白とco-localizeして存在する2量体構造の糖蛋白である。PV-1分子を指標としてCKDにおけるGEC細胞形質変化を評価した。(2)糸球体血管内皮細胞の機能的変化の解析:活性酸素種産生、NO変化 : 組織において活性酸素種 (ROS) 生成と一酸化窒素 (NO) を同時に直接可視化検出する方法 (in situ 可視化法) を確立した。蛍光NO指示薬と蛍光ROS指示薬と共焦点レ-ザ-顕微鏡を用いて、生成NOをROSと同時に組織上で可視化検出可能となった。(3)糸球体内皮層の機能的・形態的変化とアルブミン尿出現との関連の検討 : Leica社製TCS SP2 2光子レ-ザ-顕微鏡を用いて生体腎における輸出入細動脈経変化、微小血管血流、濾過、再吸収、病的状態下でのpermeability亢進を可視化検出しうる技術を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2光子レーザー顕微鏡や共焦点レーザー顕微鏡を用いて微小血流や組織上でのROS、NOを可視化検出する基盤技術の確立が順調に進み、成果を挙げることができた。病態モデルの作成に、時間を要することから、in vivoの解析には一定の時間がかかるのはやむを得ないと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の研究計画は「CKD の病態形成における糸球体内皮細胞障害の役割、分子機序の解析」で、内皮機能の維持にcritical な分子群の役割を以下の遺伝子改変動物を用いて解析する。具体的には(1)内皮特異的promoter であるtie2 制御下でeNOS 遺伝子を高発現するtransgenic mouse (tie2-eNOS Tg) (2)eNOS knock out mouse (eNOS KO) (3)カベオリン蛋白 (Cav-1) knock out mouse (Cav1-KO) (4)内皮特異的にGTP-CH1 遺伝子を高発現するtie2-GTP-CH Tg mouse (5)内皮特異的にNADPH oxidase 構成成分gp91phox のサブタイプであるNOX2 を高発現するtie2-NOX2 Tg mouseである。これら遺伝子改変動物を用いてCKD の病態形成における内皮細胞障害の意義、分子機序を解析する。作成する病態モデルは(1)糖尿病、(2)ネフローゼである。遺伝子改変マウスとAKITA 糖尿病自然発症マウス、もしくはネフローゼ自然発症ICGNマウスとを交配し作成する。前述したin vivo live imagingの基盤技術を用いて各種実験モデルにおける変化の解析を進める予定である。各種の遺伝子改変動物を用いた病態モデルができつつあり、解析を進めて行く。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験動物のうちAKITAマウス、ICGNマウスは購入する。今年度の実験系全て併せて、300,000円と計算する。分子生物実験試薬は、核酸抽出、遺伝子発現変化解析等の実験系に必要なもので、今年度は200,000円と計算する。免疫組織化学関連試薬にはモノクロ-ナル抗体、ROS,NOの指示蛍光試薬 (DCFH、DAR-4M) が含まれており、いずれも高額である。今年度は600,000円と計算する。2-photon 顕微鏡関連試薬として、蛍光標識プローブ (FITC標識dextran等) を購入予定である。In vivo実験であるため、1実験あたりの使用量が多くなる。今年度は300,000円と計算する。消耗品に計上したいずれの品目についても、これまでの実験経験に照合しても、実験規模を考慮するとこの程度の予算額が必要となる。外国旅費は研究結果の主要な発表の場である米国腎臓学会年次集会において研究成果の発表を行うためのものである。印刷費は研究結果を複数の論文にまとめ、国際主要誌(Journal of American Society of Nephrology, Kidney International 等)に投稿する際に必要となるものである。
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Research Products
(7 results)