2013 Fiscal Year Annual Research Report
急性腎障害における非対称性ジメチルアルギニンの生命予後、腎予後に果たす役割の検討
Project/Area Number |
23591210
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
上田 誠二 久留米大学, 医学部, 准教授 (80322593)
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Keywords | 急性腎障害 / 内皮障害 / 造影剤腎症 |
Research Abstract |
非対称性ジメチルアルギニン(ADMA)はICU入院患者の多臓器不全や生命予後のリスク因子であること、移植腎の生着や長期腎予後のマーカーであることが報告された。本研究の目的は、AKIにおけるADMAやその関連酵素の動態を検討し、ADMA上昇の分子メカニズムを、さらには上昇したADMAが如何に臓器)障害(特に腎障害)や生命予後に関与するか明らかにし、AKIの新たな治療戦略を開発することである。 (基礎研究) AKIの動物モデルとして虚血再灌流(IR)モデルを作成し、ADMAの動態を検討したところ、IRごく早期から酸化ストレスに伴うproteosomeの活性化により、ADMAの代謝酵素であるDDAHが著明に低下し、組織ADMAが蓄積し、その結果腎微小血管障害が惹起しAKIの進展に深く関与することを見出した。この結果、AKIの新たな治療標的としてのDDAH-ADMA系の可能性が示唆された。 (臨床研究) 待機的冠動脈造影検査予定のCKD患者の施行前のADMAと造影剤腎症発症との関連を検討したところ、AKIの有無にかかわらず、造影剤の使用で有意にADMAや酸化ストレスマーカー、炎症マーカーが上昇することが観察された。(AKI発症症例が少なく、ADMAが予期マーカーになり得るか否かは現時点では不明)。さらに上昇したこれらのマーカーは造影剤使用後6ケ月後のeGFR低下率と深く関与することが観察された。これらの結果は造影剤腎症の機序としての内皮障害の可能性、あるいはこれらに介入することでAKIの慢性化予防の有用な手段になり得る可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)