2011 Fiscal Year Research-status Report
細いヘンレの上行脚における細胞間隙ナトリウムイオン輸送の解析
Project/Area Number |
23591211
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
森本 哲司 日本大学, 医学部, 助教 (10344657)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根東 義明 日本大学, 医学部, 教授 (00221250)
内田 信一 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (50262184)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 国際情報交流 |
Research Abstract |
今年度は、研究の中心となるin vitro microperfusion法を用いた経上皮電位測定システムを再構築することにほとんどの時間を費やすことになってしまった。前任地である東北大学から現勤務先である日本大学医学部への移動があったため、研究システムをゼロから立ち上げる必要があったことと東日本大震災でダメージを受けた研究機器も一部あったために、その復旧に想定外の時間がかかってしまった。しかし、灌流システムや電気的ノイズを排除するためのケージなどに工夫を凝らし、これまでに使用していたシステムとほぼ同等のレベルまでに、漸く辿り着いた。また、本研究で用いる予定であったC-CPEを含むプラスミドを先の大震災で紛失してしまったため、国立大学法人大阪大学微生物研究所分子細菌学分野堀口教授に再度このプラスミドの分与をお願いし、平成23年12月中旬に再入手した。このプラスミドについては、無事に大腸菌を用いて培養保存することに成功し、今年度はこのプラスミドを大量に増やしたうえで、尿細管灌流実験で試薬として使用するために、C-CPEを分離精製する予定である。当初は、自身の研究室でこの作業を行う予定であったが、研究の進捗状況が芳しくないため、現時点では外部業者に委託して、時間の短縮を図る予定にしている。最終的に、今年度の成果は残念ながらほとんど無かったが、実験開始状況が万端整ったので、この大幅な遅れを取り戻すべく、次年度は研究を推し進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成23年3月11日に発生した東日本大震災のため、前任地である東北大学は甚大な損害を受けました。さらに、研究代表者である森本は、平成23年4月1日付で駿河台日本大学病院小児科に転勤しました。研究を継続するために、日本大学医学部健診センターと東京医科歯科大学医歯薬学総合研究科に研究設備を再構築致しました。しかしながら、この東日本大震災の影響で、東北大学から日本大学および東京医科歯科大学への機器の搬入が大幅に遅れたことや搬入した一部の研究機器に不具合が見つかり、その復旧に多大な時間を費やしてしまった結果、研究の進捗状況が遅れております。次年度は、この遅れを挽回すべく研究に邁進する予定です。
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Strategy for Future Research Activity |
新しく尿細管灌流システムを作り上げたので、まず基礎データの取り直しを迅速に行う予定である。システムが従来と同等に稼働することを確認した後に、遅れている研究を早急に開始する。特に、直ぐに取り掛かることが可能な細いヘンレの上行脚におけるナトリウム輸送にかかわるシグナル伝達経路の解析を行う。また、本研究の基幹であるC-CPEを用いた灌流実験にできるだけ早く着手する予定であるが、C-CPE分離精製に予想以上に時間がかかる可能性が浮上してきたため、その場合は試薬として入手が容易なEpidermal Growth Factorを購入して、この実験を前倒しして行うことも視野に入れている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は、本格的に実験を再開する予定なので、まずは尿細管灌流実験を行うためのマウスの購入が必要です。上述の如く純度の高いC-CPEを大量に培養した大腸菌から分離精製することを外部委託する予定のため、その委託費に研究費を使用する予定です。さらに、灌流実験を遂行する際には大量の灌流液を用いるので、この液を作成するために塩化ナトリウムをはじめとする多くの試薬が必要であり、試薬代に研究費を充てる必要があります。研究の結果、新たな知見が得られた場合には、学会や研究会で発表をしたり、我々の研究にかかわる最新の知見を入手するために学会に参加したいので、その旅費などに研究費を使用する予定です。
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