2012 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病におけるプロレニンの尿細管再吸収と組織レニン・アンジオテンシン系の検討
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23591214
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤乘 嗣泰 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (50292917)
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Keywords | 糖尿病性腎症 / プロレニン / アルブミン / アンジオテンシン |
Research Abstract |
微量アルブミン尿期の糖尿病ラットにおける腎組織レニン・アンジオテンシン系の亢進の機序が尿細管でのプロレニン・アンジオテンシノーゲンのendocytosisの亢進によることを検討した。 プロレニンは糖尿病では血中濃度が増加し、分子量が47kDとアルブミン68kDより小さいが、糸球体濾過係数は0.001前後で正常ラットではほとんど濾過されない。しかし、微量アルブミン尿のみられる糖尿病では糸球体で濾過され、podocyteや尿細管のプロレニン受容体を介してendocytosisされたものが、腎組織プロレニンであることを証明した。ヒトプロレニンを投与し、抗ヒトプロレニン抗体で免疫染色、25nmコロイドによるimmunogold EM法を行い、腎podocyte, 尿細管、血管系などにendocytosisされたヒトプロレニンの局在を示した。endocytosisされるプロレニン量が糖尿病ではコントロールに比べ有意に多いことをWestern blotで示した。プロレニン受容体はH+-ATPase subunit ATP6ap2と相同性があり、集合尿細管間在細胞,podocyte,近位尿細管などH+-ATPaseの発現の多い部位でエンドソーム内にプロレニンが取り込まれた。アルブミンのエンドサイトーシスと同様にメガリンがアンジオテンシノーゲンとプロレニンの受容体となっておりプロレニンのエンドサイトーシスはネフロンの共通した部位でみられており、微量アルブミン尿が腎組織レニンアンジオテンシン系の亢進のマーカーになると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
安価で大量投与が可能なEvans blue標識アルブミンでは光顕や電顕での観察が容易であったが、ヒトプロレニンまたはヒトアンジオテンシノーゲンは高価で少量しか投与できず、endocytosisの可視化に難航した。腎動脈よりの局所投与とヒト抗プロレニン抗体による免疫染色と免疫電顕で対処して結果を得た。腎スライスでのendocytosisの検討では血流がないため十分なendocytosisは観察できなかった。エンドサイトーシスされたヒトプロレニンとヒトアンジオテンシノーゲンからのアンジオテンシンIIの産生は、腎臓全体では総蛋白量が多く希釈され、糖尿病とコントロールで有意な差がみられず予想と反した。H+ATPaseを抑制することにより新たな発見があった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度はH+-ATPaseの抑制による糖尿病性腎症の治療について検討する。H+-ATPaseはendosome内のpHを酸性化してendocytosisで取り込んだ物質を分解するのみならず、receptorのmembrane recyclingの維持に重要である。H+-ATPaseの阻害薬を投与し、endocytosisのreceptorであるメガリンの発現の変化を検討し、endocytosisされるプロレニンやアンジオテンシノーゲンが減少し、腎組織アンジオテンシンの産生の減少、蛋白尿の減少、腎組織障害や腎糖新生の改善などの治療効果がみられるか検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H+-ATPase阻害薬、抗体(プロレニン、アンジオテンシノーゲン、レニン受容体、G-6-Pase, PCK2, SGLT2),アンジオテンシン測定費用、糖新生代謝酵素活性測定キットの購入、免疫電顕関連の資料作成および標本プロセス費、STZ糖尿病動物の飼育費
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Research Products
(13 results)