2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23591215
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
風間 順一郎 新潟大学, 医歯学総合病院, 准教授 (10345499)
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Keywords | 尿毒症 / 骨粗鬆症 / 分光分析 / 弾性骨強度 |
Research Abstract |
ラットを用いた分光分析学的尿毒症骨材質特性解析を継続し、これが全身のミネラル代謝に依存する骨代謝回転依存性に変化する群と、それとは独立に変化する群の2つに大別できることが判明した。このうち弾性骨強度に関連するのは後者であり、これが経口的尿毒素吸着によって可逆的に改善することも判明した。以上を米国腎臓学会で報告しその論文はBone 57:477-483, 2013に掲載された。構造特性はヒトにおいて骨代謝回転との間に有意な関連が見出されたが、これは骨強度に影響を与えるトポロジー変化をきたすレベルには到達せず、上記実験で骨代謝回転関連モデルの骨強度が変化しなかった結果にも合致した。 以上から申請者は従来から「腎性骨症」「腎性骨異栄養症」「CKD-MBD」などと称して認識されていた慢性腎臓病に伴う骨病変以外に「尿毒症性骨粗鬆症」と呼ぶべき新たな疾患概念が存在すると想定するに至り、これを総説論文としてに発表した(Kidney Int Suppl3, 446-450, 2013)。 尿毒症性骨粗鬆症の考え方は今までほとんど手つかずであった慢性腎臓病患者の骨に対する直接的治療の理論的根拠となり、国際的な診療方針の潮流にも合致する学説である。また、この学説の重要なポイントの一つである「尿毒物質による骨質劣化」というコンセプトは、慢性腎臓病患者のみならず、一般人口、特に高齢者における原発性骨粗鬆症の病態理解に繋がる新しい鍵となる可能性があり、今後の研究展開によっては国民の健康福祉の増進により大きく貢献できるポテンシャルを秘めている。
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