2012 Fiscal Year Research-status Report
細胞内アンジオテンシンII受容体を介した腎障害メカニズムの解明
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23591219
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
高尾 俊弘 高知大学, 教育研究部医療学系, 教授 (00243824)
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Keywords | 腎尿細管障害 |
Research Abstract |
腎尿細管細胞に対し、高グルコースを負荷すると細胞障害がおこる。この細胞障害のメカニズムを検討することが研究の目的である。前年度まではマウス由来のMCT細胞を用いて種々の検討を行っていたが、本年度はより生理的条件の近いヒト腎尿細管細胞由来のHK2細胞を用いて検討を行った。 細胞障害の指標として、培養液中のN-acetyl-beta-glucosaminidase (NAG)を測定した。高グルコースによりNAGは有意に増加した。また高グルコースによりNAD(P)Hオキシダーゼのコンポーネントp22phoxが有意に上昇した。さらに高グルコースは核内のNFkappaBを有意に増加させた。 高グルコースによる酸化ストレス、細胞障害のメカニズムを検討するために、アンジオテンシンIIおよびTumor necrosis factor-alpha (TNFalpha)の関与について検討した。高グルコースはアンジオテンシンII濃度を増加させた。 また、高グルコースは細胞内のTNFalpha蛋白を増加させた。 アンジオテンシンII受容体阻害薬(ARB)の1つであるカンデサルタンは高グルコースによるNAG、p22phox、NFkappaBの上昇を抑制した。また、TNFalpha阻害薬であるサリドマイドは高グルコースによるNAG、p22phox、NFkappaBの上昇を抑制した。 これらのことより、高グルコースはTNFalphaを増加させ、増加したTNFalphaは細胞内の酸化ストレスを上昇させる。このことにより核内のNFkappaBが増加し、細胞障害が引き起こされる可能性がある。ARBの細胞保護効果の少なくとも一部はTNFalphaを抑制することにより惹起されることが推測される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高グルコースに関する細胞障害の検討および アンジオテンシンII受容体阻害薬(ARB)の効果およびそのメカニズムの検討に関しては当初の計画通り進んでいる。マウスの細胞のみならず、ヒト由来のHK2細胞を用いても同様の結果を得ることができた。また、高グルコースによる細胞障害に対するTumor necrosis factor-alpha (TNFalpha)の関与に関してもある程度検討が進んだと考えられる。高グルコースによるTNFalpha濃度の変化が明らかになった。 細胞内RA系コンポーネントの同定についての検討は進んでいない。レニン、アンジオテンシノーゲン、アンジオテンシン変換酵素、(プロ)レニン受容体や細胞内アンジオテンシンII受容体の局在についての検討が不十分である。これらのコンポーネントの内、アンジオテンシンII受容体に関してはノックダウンする手法が確立されたので、今後の機能解析に用いることができると考える。 高グルコース以外の刺激、アルブミン、サイトカインによる細胞障害についても検討する必要がある。 腎臓以外の細胞における検討は今後の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在ヒト由来の腎尿細管細胞を使用しているが、必要に応じてラット、ブタの細胞を使用することを考える。 また高グルコースの実験ではグルコース濃度および反応時間の設定も重要であると考え、現在行っている濃度や時間の範囲をさらに拡げた実験を考慮する。 アンジオテンシンII濃度やTNFalpha濃度の測定に関してはさらに精度の良いEISAキットが必要である。現在までに使用したEISAキットでは細胞培養液中のTNFalphaは検出感度限界であったため、キットを代え、測定方法を改善する必要がある。 さらに高グルコースによる細胞障害実験に関してはアンジオテンシンIIとTNFalphaの相互作用を検討することにより、細胞保護の機序を明らかにする。 また、今後は細胞内RA系コンポーネントの中で、アンジオテンシンII受容体(ATR1)に的を絞って、細胞障害時のATR1の機能について解析予定である。具体的にはATR1をノックダウンした細胞に高グルコース負荷を行い、酸化ストレス発生にATR1が関与しているか否かを検討する。さらにATR1とTNFalphaの関連についても検討予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
細胞、抗体、細胞培養試薬、細胞培養器具、生化学実験試薬、EISAキット等、細胞実験に必要な物品。 実験結果解析に必要なPC、メディアおよびソフトウエア類等。研究打ち合わせおよび成果発表のための旅費等。 これらを計画的に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)