2013 Fiscal Year Research-status Report
細胞内アンジオテンシンII受容体を介した腎障害メカニズムの解明
Project/Area Number |
23591219
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
高尾 俊弘 川崎医科大学, 医学部, 教授 (00243824)
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Keywords | 腎尿細管障害 / 酸化ストレス |
Research Abstract |
腎尿細管細胞に対し、高グルコースを負荷すると細胞障害がおこる。この細胞障害のメカニズムを検討することが研究の目的である。本年度も引き続きヒト腎尿細管細胞由来のHK2細胞を用いて検討を行った。 以前の研究で高グルコースによりNAG、NAD(P)Hオキシダーゼコンポーネントp22phox蛋白が有意に上昇したことを報告した。また、アンジオテンシンII受容体阻害薬(ARB)の1つであるカンデサルタンおよびTNFalpha阻害薬であるサリドマイドは高グルコースによるNAG、p22phox蛋白を抑制したことを報告した。 今回、高グルコースは培養液中のアンジオテンシンII濃度を増加させた。また、グルコースは培養液中のTumor necrosis factor-alpha(TNFalpha)濃度を増加させた。さらに高グルコース負荷時のアンジオテンシンII受容体タイプI (AT1)受容体とTNFalphaの関係を検討するため、siRNAを用いてHK2細胞においてAT1受容体をノックダウンして検討を行なった。ネガティブコントロール細胞においては高グルコース、アンジオテンシンIIおよびTNFalphaはp22phox蛋白を有意に上昇させたが、AT1受容体をノックダウンした細胞においてはこれらの上昇は認められなかった。 これらのことより、高グルコースはアンジオテンシンIIおよびTNFalphaを増加させ、増加したアンジオテンシンIIおよびTNFalphaはAT1受容体を介してp22phox蛋白を増加させる。ARBの細胞保護効果の少なくとも一部はアンジオテンシンII のみならずTNFalphaを抑制することにより惹起されることが推測される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
高グルコースによる細胞障害の検討および アンジオテンシンII受容体阻害薬(ARB)の効果およびそのメカニズムの検討に関しては当初の計画通り進んでいる。また、高グルコースによる細胞障害に対するTumor necrosis factor-alpha(TNFalpha)の関与に関しても検討が進んだと考えられる。 また、高グルコースによる細胞障害におけるAT1受容体の関与に関しては今回受容体ノックダウンにより明らかにすることができた。 細胞内RA系コンポーネントの同定についての検討は進んでいない。レニン、アンジオテンシノーゲン、アンジオテンシン変換酵素、(プロ)レニン受容体や細胞内アンジオテンシンII受容体の局在についての検討は不十分である。
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Strategy for Future Research Activity |
高グルコースによる細胞障害においてNAD(P)Hオキシダーゼコンポーネントp22phox蛋白が関与することが明らかになったが、それ以降のメカニズムを検討するためNFkB蛋白とAT1受容体の関連についてさらに検討を進めていきたい。 また、研究成果をまとめる準備をしていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度途中で高知大学より川崎医科大学に異動になったため、十分な研究が行えなかった。異動前は前任地での引継ぎ事項に忙殺され、計画に遅れが生じた。 異動後は新しい業務が増え、また研究環境も変化したため、しばらくの間研究が滞り計画にさらに遅れが生じたため未使用額が発生した。 細胞、抗体、細胞培養試薬、細胞培養器具、生化学実験試薬、EISAキット等、細胞実験に必要な物品。資料収集のための学会出張費用、論文作成のためのソフトウエア等の備品購入。論文が完成した場合には論文投稿費用にも使用予定である。 これらを計画的に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)