2013 Fiscal Year Annual Research Report
慢性腎臓病における骨折寄与因子の検討-骨組成変化に着目した解析-
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23591223
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Research Institution | Oita University of Nursing and Health Sciences |
Principal Investigator |
岩崎 香子 大分県立看護科学大学, 看護学部, 助教 (10360059)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
風間 順一郎 新潟大学, 医歯学総合病院, 准教授 (10345499)
矢野 彰三 島根大学, 医学部, 准教授 (80403450)
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Keywords | 骨組成 / 慢性腎臓病 / 骨力学強度 / 尿毒症物質 / 骨質 |
Research Abstract |
透析患者を含む慢性腎臓病(Chronic kidney disease: CKD)患者が易骨折性を有していることは広く知られているが、副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone: PTH)濃度やその影響を受ける骨密度との関連性はいまだ明らかでない。まず高PTH分泌を伴うCKD動物のPTH濃度上昇と骨力学変化、骨組成変化の関係を継時的に検討したところ、PTH濃度上昇に伴う骨密度低下以前に骨弾性率が低下していることが示された。またPTH濃度上昇と関連しない骨組成指標が存在することが明らかとなった。CKDではPTH過分泌を伴わない骨病変も存在するため、高代謝回転骨、低代謝回転骨を同時に解析したところ、骨代謝回転、PTH濃度から独立した腎機能指標と関連する組成指標が骨力学強度に影響することが明らかとなった。 次に透析患者の骨サンプルの組成解析を行ったが、骨組成変化は見られたものの血清生化学指標、骨形態指標との関連は見いだせなかった。 上記の結果から、腎機能低下により血中に蓄積する尿毒症物質(uremic toixns: UTx)の関与が示唆されたため、UTxの骨強度への影響を検討したところ、UTx血中蓄積を防止すると骨組成変化だけでなく骨弾性率の低下も緩和されることが示された。 一方、透析患者の生命予後予測因子であるp-cresyl sulfateは細胞内酸化ストレス亢進を伴わずに骨芽細胞機能を低下させるUTxであることをin vitro検討にて明らかにした。CMPFでも同様の影響が観察され、一部のUTxは骨芽細胞機能低下を介し骨代謝、骨力学強度に影響する可能性が考えられた。 これらの結果からCKDの易骨折性にはUTxにより修飾された骨質変化がその寄与因子の一つになっている可能性が推察された。
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