2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23591224
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
河原 克雅 北里大学, 医学部, 教授 (70134525)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安岡 有紀子 北里大学, 医学部, 助教 (50348504)
種本 雅之 帝京大学, 医学部, 准教授 (40303945)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | TASK2 / Kチャネル / アシドーシス / TASK2 KOマウス / 腎臓 |
Research Abstract |
腎臓は酸塩基調節を行う唯一の臓器である。腎尿細管酸分泌におけるpH感受性K+チャネル(TASK2)の役割を明らかにする。マウス腎ネフロン内TASK2の局在と発現誘導を、高感度in situ hybridization (ISH)法を用いて調べた。TASK2は、近位曲尿細管(PCT)、近位直尿細管(PST)に局在し、糸球体、ヘンレループ、遠位曲尿細管、集合管には発現していなかった。次に、マウス (10週令)に塩化アンモニウム溶液を飲水させて、代謝性アシドーシスを誘導し、TASK2の発現量変化をISH法により調べた。アシドーシスにより、PCT・PSTの炭酸脱水素酵素 (CAII, CAIV) mRNA発現量は増加したが、NHE3、NBC1、TASK2 mRNA発現量は増加しなかった。TASK2ノックアウト(KO)マウスと野生型(WT)マウスの標準飼育下における相違を検討した。KOマウスの体重はWTに比べで約13%少なかった。血液は、イソフルレン麻酔下で頸動脈から採取した。血漿pH、HCO3-はKOで有意に低く(血漿pH: WT 7.38±0.01, KO 7.23±0.01 (P<0.005)、血漿HCO3-: WT 18.8±0.6, KO 15.4±0.6 (mM) (P<0.05))、血漿Cl-濃度は代償的に高かった(WT 125.2, KO 120.8 (mM) (P<0.05)。代謝ケージで採尿した尿のpHは、WTとKOにおいて有意な差はなかった。本年度の研究により、TASK2は腎近位尿細管において酸塩基調節に関わる分子(炭酸脱水酵素、NHE3、NBC1)と同じ部位に発現していることがわかった。TASK2 KOマウスは代謝性アシドーシスを示したことから、TASK2は酸塩基調節に関わるK+チャネルであることが示唆されたが、尿中へのHCO3-喪失は軽微だった(約0.05%)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は、1. アシドーシス誘導によるTASK2の発現解析、2. TASK2 KOマウスとWTマウスの標準飼育下における相違の検討、3. TASK2発現細胞における光学的・電気生理学的解析、を計画した。1.アシドーシス誘導によるTASK2の発現解析:WTマウスにおけるネフロン内TASK2の発現部位は、集合管ではなく近位尿細管であることを確認した。また、アシドーシスよりCAII, CAIVは発現誘導したが、TASK2の発現量は増加しないことを示す事が出来た。(達成度100%)2.TASK2 KOマウスとWTマウスの標準飼育下における相違の検討:KOマウスとWTマウスの体重、血液・尿のpH、HCO3-、pCO2、電解質濃度等を調べ、KOマウスが低体重であり、アシドーシス状態であることがわかった。KOマウスの酸塩基調節遺伝子群(NHE、NBC1、AE1、H+-ATPase、H+/K+-ATPase等)の発現量が変化しているかどうかは、今年度は調べることが出来なかった。(達成度80%)3.TASK2発現細胞(培養細胞)における光学的・電気生理学的解析:TASK2が集合管ではなく近位尿細管に発現していたため、近位尿細管細胞由来TASK2発現細胞を入手しなくてはならなくなった。電気生理学的研究装置の設置ならびに必要な研究技術は確立済みである。(達成度50%)
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Strategy for Future Research Activity |
酸塩基調節の研究は、H+やHCO3-輸送に直接かかわる膜タンパク(NHE、H+ポンプ、Na+/HCO3-)、炭酸脱水酵素に限定されてきた。TASK2は、近位尿細管性アシドーシスの原因と考えられる新たな遺伝子である。平成24年度は、TASK2が近位尿細管においてどのように酸塩基調節に関わっているかを調べる。1.TASK2 KOマウスの酸排泄能の解析:TASK2 KOマウスの酸負荷による血液・尿の変化を解析する。また、TASK2が酸塩基調節遺伝子の発現量に影響しているかを明らかにするため、NHE、Na+/HCO3-、脱炭酸酵素、H+-ATPase、H+/K+-ATPase等の発現量変化を調べる。2.TASK2の機能解析:近位尿細管性アシドーシスの新規細胞内機構を明らかにするため、TASK2のシグナルが、どのように酸排泄を調節しているか調べる。細胞外液のpH変化による膜電位変化とイオンチャネル活性変化を解析する。さらに、酸性環境下であっても、K+チャネルの開確率が増加する条件(薬剤、刺激)を特定する。3.TASK2の細胞内局在:腎尿細管細胞における膜発現はチャネルの機能的役割に大きく影響するので、細胞内局在を明らかにする。また、細胞外pHの変化によるTASK2の細胞内での移行を調べる。4.TASK2の相互作用分子の探索:K+チャネル(Kir4.1)の細胞内局在を決定する足場蛋白質(MAGI-1)とTASK2の相互作用を調べる。さらに、pH感受性活性調節に関わる補助因子を同定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H23年度はほぼ計画とおりに研究費を執行したので、H24年度の支出計画において大きな変更はない。1.TASK2 KOマウスの酸分泌能の解析:NH4Cl飲水後1、3、6日目に採血・採尿を行い、pH、HCO3-、pCO2、電解質濃度の経時的変化を解析する。また、NH4Cl飲水後6日目の腎臓を摘出し、右腎は皮質、髄質(外層・内層)に分けてタンパクを精製し、左腎は組織化学的解析用にパラフィン包埋する。ISH法、IHC法、またはWestern blotting法により、NHE、Na+/HCO3-、CA、H+-ATPase、H+/K+-ATPase等の発現量変化を調べる。2.TASK2の細胞内移行の解析: TASK2が管腔膜側、基底膜側どちらに局在しているか、TASK2抗体を用いてIHC法により確認する。また、細胞外pHの変化によるTASK2の細胞内移行を観察する。3.TASK2の電気生理学的解析:近位尿細管細胞由来TASK2 発現細胞を入手し、TASK2の機能解析を行う。細胞外pHを変えて、膜電位変化、K+チャネルの開確率への影響を調べる。4.FRETによるTASK2の光学的解析:細胞外液のpH変化によるTASK2の構造変化を検出できるようにCFPとYFPを配置し、FRETによる視覚化を試みる。この検出系を用いて、TASK2のpK値を変化させる薬剤、刺激を探索する。酸性環境でチャネルが開く(開確率が増加する)条件を特定する。5.TASK2の補助因子の探索:TASK2/MAGI-1が共発現している培養細胞を用い、2つのタンパクの細胞内局在を二重染色で調べ、極性、共局在を明らかにする。共局在が確認できた場合は、免疫沈降法により生化学的に両者の相互作用を確認する。また、細胞外pHが中性、酸性の場合のタンパクを精製し、免疫沈降法により、酸性環境下のTASK2の補助因子を同定する。
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Research Products
(10 results)