2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23591224
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
河原 克雅 北里大学, 医学部, 教授 (70134525)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安岡 有紀子 北里大学, 医学部, 助教 (50348504)
種本 雅之 帝京大学, 医学部, 准教授 (40303945)
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Keywords | TASK2 / TASK2 KOマウス / アシドーシス / 腎臓 |
Research Abstract |
前年度の成果:TASK2は、(1)腎近位尿細管(PT)に発現しており、他のセグメントには発現なし。(2)酸塩基調節に関わる分子(CA、NHE3、NBC1)は、PTに発現。(3)TASK2 KOマウスは、標準食飼育で軽い代謝性アシドーシス(MA)を示した。(4)KOマウスは、5週齢以上でWTにくらべ、約15%体重が軽かった。 本年度は、代謝ケージ飼育WT・KOマウスに、0.28 M NH4Cl溶液/0.4 M HClを6日間飲水させてMAを誘導し、血液・尿を調べた(イソフルレン麻酔下で頸動脈採血)。KOの血漿pH、HCO3-は、NH4Cl負荷で追加的低下(酸性化)は見られなかった。(血漿pH: C, WT 7.38±0.01, KO 7.23±0.01 (P < 0.005); +NH4Cl, WT 7.35±0.01, KO 7.20±0.01 (P < 0.005)。血漿HCO3- (mM): C, WT 18.8±0.6, KO 15.4±0.6 (P < 0.05); +NH4Cl, WT 15.6, KO 14.8)。一方、尿中NH3/NH4+排泄量(mg/d)は、WT、KOに有意な差はなく、NH4Cl負荷で増加した(C, WT 0.5, KO, 0.4;+NH4Cl, WT 14.1, KO 12.0)。次に、血漿pH、HCO3-は、経口HCl負荷により低下した(血漿pH: +HCl, WT 7.28±0.01, KO 7.15±0.06 (P < 0.005)。血漿HCO3- (mM): +HCl, WT 13.1, KO 12.7)。NH3/NH4+排泄量はWT、KOに有意差なく、KOは酸負荷によりNH3を産生していた(+HCl, WT 16.9, KO 21.8)。 TASK2 KOマウスは、PTにおけるNH3産生の閾値(感受性)が低下していると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、1. アシドーシス誘導によるTASK2 KOマウスの血液・尿成分の比較、2. TASK2 KOマウス由来近位尿細管培養細胞のpH調節能の解析、を計画した。 1. アシドーシス誘導によるTASK2 KOマウスの血液・尿成分の比較:標準飼育下で、KOマウスとWTマウスの尿中アンモニア排泄量には有意な差がなく、塩化アンモニウム負荷によりWT、KO共に増加した。食餌性アンモニア負荷の影響を除いて比較するため、塩酸負荷(プロトコール2)により尿中アンモニア排泄量を比較した。KOマウスはWTマウスと同様に尿中アンモニア排泄量が増加し、有意な差はなく、アシドーシス誘導アンモニア産生はされていた。(達成度100%) 2. TASK2 KOマウス由来近位尿細管培養細胞のpH調節能の解析:近位尿細管細胞由来TASK2発現細胞の入手をしなくてはならないが、本年度は着手出来なかった。電気生理学的研究装置の設置ならびに必要な実験技術は確立済みである。(達成度50%)
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Strategy for Future Research Activity |
TASK2は、近位尿細管性アシドーシスの原因と考えられる遺伝子である。平成25年度も引き続き、TASK2が近位尿細管のHCO3-輸送(再吸収)においてどのように酸塩基調節に関わっているかを調べる。 ・TASK2の機能解析:近位尿細管性アシドーシスの新規細胞内機構を明らかにするため、TASK2が形成する駆動力が、どのように酸排泄を促進しているか調べる。細胞外液のpH変化による膜電位変化とイオンチャネル活性変化を解析する。さらに、酸性環境下であっても、K+チャネルの開確率が増加する条件(薬剤、刺激)を特定する。 ・TASK2の細胞内局在:腎尿細管細胞における膜発現はチャネルの機能的役割に大きく影響するので、細胞内局在を明らかにする。また、細胞外pHの変化によるTASK2の細胞内での移行(trafficking)を調べる。 ・TASK2の相互作用分子の探索:内向き整流性K+チャネル(Kir4.1)の細胞内局在を決定する足場蛋白質 (MAGI-1)とTASK2の相互作用を調べる。さらに、pH感受性活性調節に関わる補助因子を同定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1. アシドーシス誘導によるTASK2 KOマウスとWTマウスの酸分泌能の比較:6日間塩酸飲水マウスの腎臓を摘出し、右腎は皮質、髄質(外層・内層)に分けてタンパクを精製し、左腎は組織化学的解析用にパラフィン包埋する。ISH法、IHC法、またはWestern blotting法により、NHE、Na+/HCO3-、CA、H+-ATPase、H+/K+-ATPase等の発現量変化を調べる。 2. TASK2の細胞内移行:TASK2が管腔膜・基底膜のどちらに局在しているか、抗TASK2抗体を用いてIHC法により調べる。また、細胞外液のpH変化によるTASK2の細胞内移行を解析する。 3. TASK2の電気生理学的解析:近位尿細管細胞由来TASK2 発現細胞を入手し、TASK2の電気生理学的機能解析を行う。細胞外液のpHを変えて、膜電位変化、K+チャネルの開確率への影響を調べる。 4. FRETによるTASK2の光学的解析:細胞外液のpH変化によるTASK2の構造変化を検出できるようにCFPとYFPを配置し、FRETによる視覚化を試みる。この検出系を用いて、TASK2のpK値を変化させる薬剤、刺激を探索する。酸性環境でチャネルが開く(開確率が増加する)条件を特定する。 5. TASK2の補助因子の探索:TASK2/MAGI-1が共発現している培養細胞を用い、2つのタンパクの細胞内局在を二重染色で調べ、極性、共局在を明らかにする。共局在が確認できた場合は、免疫沈降法により生化学的に両者の相互作用を調べる。また、細胞外液のpHが中性・酸性の場合のタンパクを精製し、免疫沈降法により、酸性環境下のTASK2補助因子を同定する。
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[Journal Article] Vasopressin V1a receptor is required for nucleocytoplasmic transport of mineralocorticoid receptor.2012
Author(s)
Hori K, Nagai T, Izumi Y, Kimura M, Hasuike Y, Nakayama Y, Nanami M, Tokuyama M, Otaki Y, Kuragano T, Kohda Y, Obinata M, Kawahara K, Tanoue A, Tomita K, Nakanishi T, Nonoguchi H.
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Journal Title
Am J Physiol.
Volume: 303
Pages: 1080-1088
DOI
Peer Reviewed
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