2012 Fiscal Year Research-status Report
パーキンソン病治療標的としてのα-シヌクレイン発現抑制のin vivo解析
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23591230
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
荒若 繁樹 山形大学, 医学部, 講師 (00344789)
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Keywords | 神経内科学 / 神経病態 / 動物モデル |
Research Abstract |
家族性パーキンソン病の原因遺伝子のひとつで、孤発性パーキンソン病の神経細胞に蓄積しているα-シヌクレインは、パーキンソン病の発症と進行に深く関与していると考えられている。ウイルスベクターを用いてα-シヌクレインをラット中脳黒質に過剰発現させるとドパミン神経細胞の脱落が生じる。本研究課題では、α-シヌクレインの発現を標的とした治療戦略の可能性を明らかにするため、ラットにおいて一度過剰発現させたα-シヌクレインの発現を途中から抑制させることで、α-シヌクレインによって惹起される神経毒性と凝集体形成が緩和されるか検討することを目標としている。この動物モデルをTet-offシステムを応用して樹立することを考え、平成24年度は各遺伝子カセット配列の向きと距離を改変したベクターをいくつか作製し、培養細胞レベルで、どのタイプのベクターが効率よく過剰発現したα-シヌクレインの発現を抑制できるか検討した。その結果、神経系と非神経系培養細胞で共通して発現を抑制できるベクターを見出した。現在、このベクターをアデノ関連ウイルスに組み込んだものを作製し、ラットへの接種の準備を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請書では、平成24年度には作製したウイルスをラット脳に接種して、α-シヌクレイ発現抑制による神経変性の変化を検討する予定であった。当初、shRNAによるRNA干渉法による発現抑制を想定していたが、この場合、α-シヌクレインを組み込んだウイルスをはじめに接種し、その後shRNAを組み込んだウイルスを接種するため、2回頭部に機械的なダメージを加えてしまうことが問題として考えられた。このような侵襲を減らすために、一回のウイルス接種で済むようにTet-offシステムを改変する方法が望ましいと考えた。しかし、通常のTet-offシステムでは2つのベクターを個別に発現させなくてはならない。この場合、2つのベクターの発現が各個体ごとにばらつく可能性が懸念された。その可能性を取り除くために、1つのベクターでTet-offシステムが働くように作りかえる方法を採用することにした。しかし、このベクターの構築について効果的なものを作製するための確立された方法はないため、幾通りかの遺伝子カセットの配向を変えたベクターを作製し、実験的に効果的なものを決定する必要があった。本研究では、効果的なベクターを作製することが重要な鍵になるため、平成24年度までこの検討に時間がかかってしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
ウイルスをなるべく早く作製し、ラット脳への接種を急ぎたい。短い時間で解析ができるようにあらかじめ必要なラットの匹数を計算して実験計画を立て研究を遂行したいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、ウイルス作製費用、ラット飼育代、免疫組織などの解析に費用を使用する予定である。
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Research Products
(5 results)