2011 Fiscal Year Research-status Report
ポリグルタミン病ヒト疾患脳における重合体毒性の証明と治療薬開発
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23591235
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
高橋 俊昭 新潟大学, 脳研究所, 非常勤講師 (70377191)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ポリグルタミン病 / 重合体 / 神経変性 / DRPLA |
Research Abstract |
【目的】ヒト疾患脳組織(歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症;DRPLA)での重合体の検出を行ない、解剖部位毎のポリグルタミン鎖重合体の蓄積の差異を検証し、神経変性(神経細胞死)と重合体蓄積との関連を検証する。【方法】新潟大学脳研究所病理学分野の病理献体から提供を受けた DRPLA 症例6例および対照9例(アルツハイマー病 2例、パーキンソン病 2例、他に非変性疾患 4名) の脳組織凍結標本の大脳皮質、被殻、淡蒼球、小脳歯状核を検討した。各組織標 本に RIPA buffer を加え、超音波破砕法にて弱変性状態で蛋白抽出した。1% アガロースゲルで電気泳動し、Western blot法にて重合体をスメアバンドとして検出した。【結果】1) DRPLA患者由来サンプルにおいて重合体を表す高分子のスメアバンドを特異的に検出した。大脳皮質では5例中2例、被殻では4例中2例、淡蒼球では3例中1例、小脳歯状核では5例中1例で重合体の蓄積を認めた。一方で、神経変性疾患以外の対照患者(Alzheimer病、Parkinson病由来サンプルでは、いずれの解剖部位においても重合体の蓄積を認めなかった。2)病理組織 HE 標本との比較検討では、重合体の蓄積が顕著であったDRPLA 症例の淡蒼球では、蓄積を認めなかったDRPLA 症例 に比較して、神経細胞脱落と細胞体萎縮等の変性所見がより高度であった。3)大脳皮質における重合体の蓄積量とグルタミン伸長数(R2=0.957, p<0.01)、小脳歯状核における重合体の蓄積量と罹病期間(R2=0.979, p<0.01)との間に有意な正の相関を認めた。【考察】ポリグルタミン鎖重合体は、疾患特異的に蓄積し、病理検討においても重合体蓄積と神経変性の程度に関連を認めたことより、重合体の病態への関わりをヒト疾患脳において証明し得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の最大の課題として、1) ヒト疾患脳における伸長ポリグルタミン鎖重合体の検出法の確立、2) ヒト剖検脳組織における重合体蓄積と神経障害性の関連性の検討を挙げた。1) については、各組織部位の採取試料をRIPA buffer添加、超音波破砕法にて弱変性状態で蛋白抽出を行ない、1% agarose gel(0.01% SDS加)で電気泳動 (Semi-Denaturing Detergent-Agarose Gel Electrophoresis) し、Western blot法にて重合体をスメアバンドとして検出する方法を確立した。2) については、1) の手法に基づき、ポリグルタミン鎖重合体がヒト疾患脳において特異的に検出されること、神経変性と重合体蓄積に相関があることを示した。 本年度の研究成果は、重合体形成を阻害する分子標的治療の有効性を示唆するものである。次年度以降の研究計画(治療薬選定やモデル動物を用いた治療効果判定)へつながる重要な知見と考察している。 上記の点から、順調に研究が遂行されたと自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
【平成24年度】平成23年度の検証に基づきポリグルタミン鎖重合形成を阻害する薬剤の選定を行う。候補とする薬剤は、これまでのスクリーニング研究で検討されていない漢方や生薬成分、またアミロイドβ凝集阻害で検証されているNSAIDsやベンゼン環化合物を検討している。具体的な臨床での使用の実現が可能な薬剤選定を目指すために、米国FDA承認薬情報を参照しつつ、可能な限り他疾患の臨床で使用されている製薬や生薬成分などを対象とする。主に経口内服が可能な薬剤を検討対象とする。方法としては、蛍光蛋白を付加したポリグルタミン鎖を含む細胞抽出蛋白に選定対象とする薬剤を添加し、37℃でincubation、蛍光native-PAGE法によるポリグルタミン鎖二量体の検出を行う。薬剤添加により、ポリグルタミン鎖の単量体と二量体のバンドシグナルを蛍光定量値 から、二量体蛍光値/単量体蛍光値を算出し、二量体の形成を阻害する薬剤を選定する。【平成25年度】有望な効果薬剤について、実験動物を用いた治療効果判定へ発展させる。ポリグルタミン鎖(40 glutamine repeat)を恒常発現する線虫モデルを用い、飼育培地中に昨年度選定した薬剤を添加し摂取させる。このtransgenic線虫は約3週間で寿命をまっとうするため、他のモデル動物にくらべ、ポリグルタミン鎖の重合・蓄積を簡便に評価しうる。評価内容としては、蛍光顕微鏡観察、Western blot解析、Semi-Denaturing Detergent-Agarose Gel Electrophoresis、寿命測定等よる解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
【平成24年度】薬剤添加によるポリグルタミン鎖二量体形成を蛍光native-PAGE法により検討する。ポリグルタミン鎖を含む抽出蛋白は、HEK293T細胞に部分 DRPLA Q80-mYFPを発現するplasmidをtransfection 48時間後にcell lysateを回収することで用意する。このポリグルタミン鎖に各種薬剤を添加し、非変性状態で10% ポリアクリルアミドゲル(Wako)にてnative-PAGEを行ない、蛍光イメージスキャナー(Typhoon9400, GEヘルスケア)にて二量体のバンド検出を行う。 上記研究内容の遂行の為、通年的な細胞培養が必要で、細胞関連試薬、細胞培養維持費用が必要となる。また、ポリグルタミン蛋白はリポフェクションによるplasmidの一過性発現を必要とするため、実験毎にtransfection試薬を必要とする。加えて、選定薬剤費用、native-PAGEに使用するポリアクリルアミドゲル費用等がおもな直接経費の使用用途となる。研究計画上に必要な測定機器はすでに準備済みであるため、高額な設備購入は計画していない。・細胞培養関連 (ディシュ, ピペット類, 抗生物質,CO2, 液体培地, 血清など)400,000・ transfection試薬 (lipofectamine2000:Invitrogenなど) 200,000・ native-PAGE (ポリアクリルアミドゲルなど) 200,000・ 各種選定薬剤 300,000
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Research Products
(1 results)