2011 Fiscal Year Research-status Report
GNE遺伝子異常に伴う遠位型ミオパチーの病態解析と治療法の開発
Project/Area Number |
23591251
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
熊本 俊秀 大分大学, 医学部, 教授 (40134936)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 成志 大分大学, 医学部, 講師 (30433048)
中村 憲一郎 大分大学, 医学部, 助教 (70608372)
増田 曜章 大分大学, 医学部, 助教 (50464459)
岡崎 敏郎 大分大学, 医学部, 助教 (00464438)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 遠位型ミオパチー / 縁取り空胞 / GNE / オートファジー / リソソーム / プロテアソーム / 小胞体ストレス |
Research Abstract |
GNE遺伝子異常による縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー(DMRV)の病態解析と治療法の開発を目的に、GNE結合蛋白の検索および変異GNE遺伝子、GNEノックダウン細胞を用いたGNEの機能解析を行っている。日本人DMRVに最も多いV572L変異のヒトGNE遺伝子を作製し、 GFP融合発現ベクターに挿入した。リポフェクション法で培養細胞に導入し、共焦点レーザー顕微鏡を用いて細胞内局在を調べた。また、Lysotrackerを用いて変異GNE過剰発現細胞、またはsiRNA法によるGNE発現抑制細胞におけるリソソームを観察した。その結果、 GFP融合野生型GNE は主として細胞質にびまん性に局在した。GFP融合V572L変異のヒトGNE遺伝子の細胞内局在はGFP融合野生型GNEと変わらなかった。また、Lysotrackerで標識されたライソゾームは、V572L+A82V変異GNE過剰発現細胞あるいはGNE発現抑制細胞において形態的に特に変化を認めなかった。 また、縁取り空胞(RV)を伴うクロロキン(CQ)投与ラット筋における小胞体ストレスの検討では、CQ投与ラットの筋組織では多数のRVがみられ、オートファジー・リソソーム系列の関与が示唆されている。ラットの右坐骨神経を結紮後、CQ、または生食水を腹腔内に14日間投与した。組織学的に脱神経筋は有意に筋線維が萎縮し、CQ投与ラットの脱神経筋では多数のRVを認めた。生食水およびCQ投与ラットの脱神経筋では、非脱神経筋に比べ、eIF2αのリン酸化およびATF4 蛋白質の発現量が有意に減少した。GRP78蛋白質の発現量は有意差を認めなかった。以上より、生食水およびCQ投与ラットの脱神経筋では、小胞体ストレスシグナル伝達経路の一つであるPKR-like kinase-eIF2α-ATF4経路が抑制されている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は、V572L変異遺伝子導入細胞を用いた研究では、ユビキチン-プロテアソーム系列およびVCP/p97および小胞体ストレス関連の検討はできず、やや遅れ気味だが、一方、平成24年度行う予定のCQ投与ラットについて、オートファジー・リソソーム系列、ユビキチン-プロテアソーム系列、小胞体ストレス、VCP/p97の解析を行うことができ、研究はおおむね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
交付申請書に記載した「研究の目的」「研究実施計画」に従って、研究を推進する。すなわち平成23年度に行うべき遺伝子導入細胞を用いた研究及び平成24年度に行う予定のラットを用いた研究の残りを完遂する。 具体的には、変異GNEおよびwild-type GNE遺伝子導入細胞について、ユビキチン-プロテアソーム、VCP/p97、さらに小胞体ストレスの各系列の関連蛋白およびmRNA発現量を測定し、比較検討する。 また、CQ投与ラット筋、またはヒトDMRV筋(DMRV6例、弧発例DMRV6例、疾患対照8例、正常対照15例)の生検筋についてGNE活性、シアル酸量、カテプシン B・L活性、ユビキチンおよびプロテアソーム量を測定し、オートファジー・リソソームおよびユビキチン・プロテアソーム、VCP/p97および小胞体ストレスの各系列の関連蛋白およびmRNA発現量を検索し、比較検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究を遂行するために必要な研究用材、試薬等の消耗品の購入、研究成果発表や論文作成のための会議費、文献収集のための複写費・英文校閲・投稿料に用いる。
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