2011 Fiscal Year Research-status Report
パーキンソン病関連SNPが関わるmiRNAによるαシヌクレイン発現調節機構の解明
Project/Area Number |
23591257
|
Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
水野 英哉 武庫川女子大学, 薬学部, 准教授 (90322578)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 神経変性疾患 / パーキンソン病 / SNP / マイクロRNA / αシヌクレイン |
Research Abstract |
α-Synuclein(α-Syn)遺伝子3'非翻訳領域(3'UTR)内のSNPがマイクロRNA(miRNA)によるα-Synの発現制御に影響を与えて孤発性パーキンソン病の発症に関与する可能性を考え、本研究を始めた。 孤発性パーキンソン病発症リスクの増加に関与するa-Syn遺伝子3’UTR内のSNP(rs356165)の違いにより、α-Syn発現抑制活性に影響を与えるmiRNAのスクリーニングを、レポーターアッセイを用いて細胞レベルで行った。ルシフェラーゼを含むレポーターベクターにSNP G型(メジャーアレル、PD発症リスク増加)およびA型(マイナーアレル)のα-Syn 3'UTRを挿入し、コンストラクトを作製した。このコンストラクトとmiRNAをHEK293細胞に共トランスフェクションし、ルシフェラーゼ活性を測定した。miRNAには合成二本鎖RNAを用い、α-Syn発現を制御することが既に知られているmiR-7とmiR-153を用いて検討した。また、マイナーアレルであるA型に対するmiRNAの抑制効果については、これまで検討されていないので、今まで報告されていないmiRNAがα-Synの抑制を示す可能性があることから、神経細胞特異的に発現することが知られているmiR-9、-124、-132についても検討した。 miR-7とmiR-153は、SNP G型およびA型両方に対してルシフェラーゼ活性を有意に抑制したが、その抑制の程度については、SNP間で有意な差異は認められなかった。また、miR-9、-124、-132については、G型及びA型共にルシフェラーゼ活性の抑制を示さなかった。以上のことから、この実験系では、これらのmiRNAの効果はSNP間に差が見られないことが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今回行ったルシフェラーゼアッセイによる評価方法では、miRNAs(miR-7、-9、-124、-132、-153など)によるα-Synucleinタンパク質の発現調節は、目的のパーキンソン病関連のSNPによる影響を見ることができなかった。SNPによる発現抑制の差が微妙なことと実験実施者がまだ慣れていないこともあって、一つのmiRNAの結果を判定するのに時間がかかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの様な外部からのmiRNAの導入では、作用が強すぎてSNP間に差が見られなかった可能性があるので、miRNAの阻害剤を用いて 内在性miRNAの効果について再検討を行うことを予定している。また、今年度用いたmiRNA以外の効果についても検討するため、α-Synuclein発現に影響を与えることが知られている物質(ドーパミンなど)を加えた時のmiRNAの発現変動についてマイクロアレイを用いて 網羅的に解析する。実験手順としては、培養細胞にα-Synuclein発現に影響を与えるドーパミンを加えて、RNAを抽出して試料として用いる。実際に試料を準備して、ウエスタンブロッティングによりα-Synucleinタンパク質発現について調べたところ、その発現上昇が顕著ではなかった。最適な条件を見つけようとしたが、平成23年度内には見つけられなかったので、平成24年度に持ち越すことにした。最適な条件が見つかり次第、RNAを抽出してマイクロアレイを用いた解析を行う予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度の持ち越したマイクロアレイ解析を先ず実施する。昨年度は1月後半から始めたので年度内に完了できなかったが、今年度はこれまでに得たデータを参考にしながら始めるので、最短で5月中に完了することが可能である。ドーパミン処理でうまくいかなかった場合は、MPTP、GDNFなど他のα-Synuclein発現上昇因子で処理して検討することを予定しており、7月中に完了できると考えている。
|