2011 Fiscal Year Research-status Report
創傷治癒マウスの再生促進分子によるデュシェンヌ型筋ジストロフィー治療法の開発
Project/Area Number |
23591261
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
大澤 裕 川崎医科大学, 医学部, 講師 (80246511)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
砂田 芳秀 川崎医科大学, 医学部, 教授 (00240713)
村上 龍文 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (30330591)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 創傷治癒 / 筋ジストロフィー / 再生医療 |
Research Abstract |
創傷治癒促進MRLマウスは個体識別のための耳穴が完全閉鎖するという驚くべき表現型から発見された自然変異マウスで劣性遺伝形式を示す。このマウスとジストロフィン欠損デュシェンヌ型筋ジストロフィーモデルであるmdxマウスとの交配によって誕生したMRL/mdxマウスでは、mdxマウスで認められた筋線維萎縮が改善し再生筋の増加と間質線維化の減少が認められる。そこで、このMRL/mdxマウスとmdxマウス骨格筋(横隔膜)の遺伝子発現をマウスマイクロアレイで網羅的に比較解析した。その結果、MRL導入によって発現が3倍以上に上昇した遺伝子群が125個、3倍以下に低下した遺伝子群が246個得られた。このうち実際の遺伝子発現をノザンブロット解析で確認し得た42個の骨格筋再生促進の候補遺伝子群は、機能が既知の遺伝子28個、未知の遺伝子14個に内訳された。線維化抑制という観点から私達が注目しているTGF-βファミリー関連分子6個のうち、p21(Cdkn1a)はMRLマウス骨格筋では野生型コントロールマウスと比較して、5倍以下に発現低下が認められた。一方、mdxマウスでは7倍以上の発現上昇が認められた。MRL/mdxマウスではmdxマウスと比較し3倍以上の発現低下が認められた。現在この分子の上流のエフェクターであるSmad2/Smad3の遺伝子発現と活性化(リン酸化)状態について解析をすすめ、さらにウイルス担体による筋芽細胞への強制発現系の構築に着手した。これによってこのTGF-βシグナルのMRLの骨格筋再生促進機構への関与について検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マイクロアレイによる骨格筋遺伝子の発現解析は行ったが、実際の遺伝子発現の定量比較(ノザンブロット・定量RT-PCR)の進行が当初の計画では終了しているはずが、現在まだ進行中の状態である。これに伴い、候補遺伝子のin vitro筋分化アッセイについてはウイルスベクターの作製に着手したところで当初の計画より進捗がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はウイルス担体による候補遺伝子の強制発現について簡便なライゲーションシステム(Gate-way)を用いてスピードアップを図り、筋再生候補遺伝子の絞り込みを行う。これにより本年度の目標であるmdxマウス骨格筋への筋再生候補遺伝子導入研究に着手していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額¥6,903は年度末に購入した試薬の支払いに充てた。今年度の研究費については、再生候補遺伝子の遺伝子発現解析のための定量RT-PCR試薬、候補遺伝子のin vitro強制発現のための分子生物試薬や細胞培養試薬などの消耗品を中心に使用する予定である。また、一部はマウス飼育のための人件費の使用を検討している。
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Research Products
(4 results)