2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23591263
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
三尾 和弘 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオメディシナル情報研究センター, 主任研究員 (40470041)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 知栄 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 主任研究員 (50344099)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 核膜 / ラミノパチー / 電子顕微鏡 / タンパク質構造解析 / 中間径フィラメント |
Research Abstract |
核ラミナの制御には核内膜に特異的に存在する核膜タンパク質群が重要な役割を果たしているが、実際にどのような機構でラミン重合が制御され、またそれらの変異がどのようにして重篤かつ多様な疾患を引き起こすのかについてはほとんど解明されていない。本研究では核ラミナ形成における核膜タンパク質の関与を電子顕微鏡を用いて構造学的見地から解析し、核膜病発症の理解と治療に関する基盤構築をめざしている。本年度はHela細胞由来のcDNAライブラリーからヒトA型ラミンのクローニングを行い、動物細胞および大腸菌発現系を用いたヒト正常型ラミンの大量発現・精製系を構築した。タグに対するアフィニティー精製、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィーを組みあわせることで、95%以上の高純度精製標品を一回の精製あたり5mg以上の効率で準備することが可能になった。更にラミノパチーを発症するR453W, R527P, R527H変異を導入した変異タンパクの大量精製にも成功した。精製ラミンを低角ロータリーシャドウ法を用いて金属蒸着を行い、その分子形態を観察した所、長いrod部分と双頭のIg-foldドメインを持つ、2量体が形成されていることが確認できた。これらの精製標品を用いてそれぞれの重合過程を電子顕微鏡解析を行った。様々なバッファー条件での透析を行い、ラミンのhead-to-tailの重合とパラクリスタルの形成を観察した結果、低pHおよび低塩濃度で重合が促進されることを確認した。現在のところ、変異体間での自己重合過程における目立った相違は認められないため、エメリンやLap2等の核膜特異的に存在する核内膜タンパク質との相互作用の解析を引き続き行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
精製ラミンは分子内に切断されやすい領域が存在し、かつ重合性の制御に苦慮した部分もあったが、様々な発現系構築を行い、精製方法を試した結果、高純度大量精製する目処がついた。また透過型電子顕微鏡を用いた負染色ラミン試料の観察と、低角ロータリーシャドゥ法による単分子ラミン観察の条件検討を行い、目処が立ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
正常型、および各種ラミノパチーを発症する変異を導入した変異型ラミンの発現・精製系が確立できたため、それらを用いて核膜内膜蛋白質との結合状態の変化を生化学的及び電子顕微鏡解析から明らかにする。さらに各種リン酸化酵素がラミン機能に与える影響を構造学的観点から解析する
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主に発現、精製、変異導入に用いる生化学関連の消耗品や、研究打合せ、成果発表のための研究代表者および研究分担者の国内外旅費に用いる。また研究の効率化のために、必要に応じてルーチン作業の外部受託も検討する。
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