2012 Fiscal Year Research-status Report
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23591263
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
三尾 和弘 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオメディシナル情報研究センター, 主任研究員 (40470041)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 知栄 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 主任研究員 (50344099)
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Keywords | 核膜 / ラミノパチー / 電子顕微鏡 / タンパク質構造解析 / 中間径フィラメント |
Research Abstract |
核の内膜には、核内膜に特異的に局在する膜タンパク質が多数存在し、ラミンと重合体を形成して核ラミナとなる。核ラミナの制御にはそれら核膜タンパク質群が重要な役割を果たしているが、実際にどのような機構でラミン重合が制御され、またそれらの変異がどのようにして重篤かつ多様な疾患を引き起こすのかについてはほとんど解明されていない。本研究では核ラミナ形成における核膜タンパク質の関与を電子顕微鏡を用いて構造学的見地から解析し、核膜病発症の理解と治療に関する基盤構築をめざしている。本年度は電子顕微鏡観察を用いてラミン分子の2量体構造-線維構造-高分子パラクリスタルの構造変化と、細胞周期関連リン酸化酵素による非常に速い重合解除を観察した。また高速AFMの観察からは、rod領域の中間に位置するcoil1-coil2間リンカー部での自由度が大きく、溶液中では容易に折れ曲がって激しく動き回ることが示された。同種・異種のタンパク質との相互作用を容易にしていることが推測された。更に、このリンカー領域に変異を持つ疾病発症型ラミンの合成・精製を行い、物理化学的性質を超遠心分析法やNative-PAGE法、動的光散乱法などを用いて解析すると共に、重合化に及ぼす影響を電子顕微鏡を用いて詳細に解析した。その結果、リンカー領域におけるたった1アミノ酸の置換によってその物理化学的性質は大きく変化し、重合過程においても正常なパラクリスタル構造を失ってしまうことが示された。またエメリンやLap2等の核膜特異的に存在する核内膜タンパク質の発現系構築を行い、相互作用解析を行った。それらのうちいくつかはラミンと相互作用し、ゲルろ過解析でも同一画分に複合体として検出された。相互作用領域の解析を電子顕微鏡や他の構造決定方法を用いて継続して行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究から、正常および疾病型ラミンの安定な発現系構築と精製方法の確立を行い、高純度大量精製できるようになっている。またそれらの重合・解離をin vitroで再現させることにも成功し、疾病発症メカニズムを電子顕微鏡を用いて解析するための技術蓄積も進んでいる。また低角ロータリーシャドウ法や高速AFMなど、ラミン分子動態を直接観察する技術開発も推進しており、今後行う複合体解析に役立つことが想定される。エメリンやLap2等、SUN1等の核膜特異的に存在する核内膜タンパク質の発現・精製条件も詰めており、相互作用解析の準備が整いつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
正常型、および各種ラミノパチーを発症する変異を導入した変異型ラミンを用いて、核膜内膜蛋白質との結合状態の変化を生化学的及び電子顕微鏡解析から明らかにする。既にエメリンやLap2等の核膜特異的に存在する核内膜タンパク質の発現系構築を行い、相互作用解析を行った結果、それらのうちいくつかはラミンと相互作用し、ゲルろ過解析でも同一画分に検出された。電子顕微鏡を始めとする様々な解析手法を組み合わせて、相互作用と疾病が発症する機構を分子レベルで明らかにする。また各種リン酸化酵素がラミン機能に与える影響を構造学的観点から解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主に発現、精製、変異導入に用いる生化学関連の消耗品や、研究打合せ、成果発表のために研究代表者および研究分担者の国内外旅費、論文発表に要する支出に用いる。また研究の効率化のために、必要に応じてルーチン作業の外部受託も検討する。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Specific recognition of linear polyubiquitin by A20 zinc finger 7 is involved in NF-κB regulation.2012
Author(s)
Tokunaga F, Nishimasu H, Ishitani R, Goto E, Noguchi T, Mio K, Kamei K, Ma A, Iwai K, Nureki O
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Journal Title
EMBO Journal
Volume: 31
Pages: 3856, 3870
DOI
Peer Reviewed
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