2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23591264
|
Research Institution | Kanagawa Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
小坂 仁 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所), その他部局等, その他 (90426320)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
|
Keywords | 白質形成不全 / PolIII / HCAHC |
Research Abstract |
内容;Diffuse cerebral hypomyelination with cerebellar atrophy and hypoplasia of the corpus callosum, HCAHC(小脳萎縮と脳梁低形成を伴うび漫性大脳白質形成不全症)は、2009年に本邦佐々木らより提唱された新しい疾患概念で中枢神経系の髄鞘形成不全に加え,小脳萎縮と脳梁低形成を伴うゲノムワイドの連鎖解析および全エキソンシークエンス:ハイブリダイゼーションの技術を用い、ゲノム上のエキソン領域を選択的にキャプチャし、高効率に濃縮してから次世代シーケンサーを用いて包括的に解析した。結果;全エキソンシークエンスを3名の患者で行い、1名においてPOLR3A遺伝子のc.2690T>A,p.Ile897Asn /c.3013C>T,p.Arg1005Cysを、2名においてPOLR3B遺伝子の複合ヘテロ接合体c.1857-2A>C, p.Asn620_Lys652 del/c.2303G>A,p.Arg768His およびc.1648C>T,p.Arg550X/c.2778C>G, p.Asp926Gluを同定した。考案;POLR3AおよびPOLR3B遺伝子はRNA polymeraseIII(PolIII)複合体のコアになるサブユニット(RPC1およびRPC2)をコードしており、複合体の3次元モデルの解析から、同定された変異はPolIII活性を低下させると予想された。PolIIIはtRNAと5SrRNAを含む大多数の低分子RNAをコードする遺伝子を転写しており、これらの低分子RNA量が不足することにより髄鞘化不全が起きると考えられる。 Saitsu H, Osaka H, et al., Am J Hum Genet 89 (5):644-651.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記以外の家系についても、予想以上に早く原因特定に至った。原因不明の白質形成不全家系においてエクソームシークエンスによりMonocarboxylate transporter 8 (MCT8) にc.1102A→T, p.R368Xの変異を認めた。家系と連鎖しており、正常200アリルでこの変異を認めないため、原因変異と考える。MCT8遺伝子変異による先天性白質形成不全症は、Allan-Herndon-Dudley症候群とよばれ、MCT8遺伝子異常によりtriiodothronine (T3)のニューロン取り込み低下が神経症状と関連している可能性が考えられており、血清T3値の上昇が診断の手掛かりとなると考えられている。血清T3値の上昇なく白質形成不全が疑われ、診断に苦慮したが、血清TSH,T3,T4の値が正常範囲であっても、考慮すべき疾患であると考えられた。残念ながら、既知の遺伝子ではあったが、新規知見を得たので、下記の論文報告を行った。Tsurusaki Y, Osaka H, Hamanoue H, Shimbo H, Tsuji M, Doi H, Saitsu H, Matsumoto N, Miyake N (2011) Rapid detection of a mutation causing X-linked leucoencephalopathy by exome sequencing. J Med Genet 48 (9):606-609.
|
Strategy for Future Research Activity |
1) 重複型の薬物スクリーニングPLP1遺伝子重複のPMDが遺伝性白質形成不全症の、もっとも多い原因である。我々の施設でのPMD診断例は、平均2歳であり、画像上の萎縮性変化が生じるより前に、遺伝子診断がなされる例が増えてきた。すなわち細胞変性をきたす前に遺伝子重複によるPLP1過剰発現を抑制すれば、停止した髄鞘化の解消と二次的細胞変性の予防による治療が可能と考える。我々は、内因性plp1を発現するC6グリオーマを用いて、その発現を指標として140種類以上の食品化合物をスクリーニングした。その結果生理的濃度の薬物添加下でPLP1の発現が50%以上低下する食品化合物を2種類、30%以上低下する食品化合物をすでに11種類同定している。これらの薬物を、ヒトでの投与量の上限を体重換算した量を、4週令の正常マウスに一週間腹腔内投与したが、有意な発現減少が得られなかった(未発表)。この原因として中枢神経移行率が悪い、あるいは細胞で認める発現変化は組織では代償されてしまいその変化が得られない等が考えられる。そこで今回は、すでに上市されている薬剤の中から、中枢神経に移行することがわかっている、約200種類の薬剤を用い、C6グリオーマの系で同様の実験を行い、より臨床応用に近い薬剤のスクリーニングを行う。ライブラリーの一部はナミキライブラリーより購入あるいは慶応大学、既存薬ライブラリーから貸与を受ける。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
血液脳関門を通過することがわかっている、既存薬剤のライブラリーを入手する。入手できないものは、ナミキライブラリー等から購入するため、各々2万円程度必要となる。そのための支出が数十万円計上している。その他iPSや幹細胞の継代等に数十万円の支出を予定している。
|
Research Products
(11 results)
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Journal Article] Early infantile epileptic encephalopathy associated with the disrupted gene encoding Slit-Robo Rho GTPase activating protein 2 (SRGAP2).2011
Author(s)
Saitsu H, Osaka H, Sugiyama S, Kurosawa K, Mizuguchi T, Nishiyama K, NishimuraA, Tsurusaki Y, Doi H, Miyake N, Harada N, Kato M, Matsumoto N.
-
Journal Title
Am J Med Genet
Volume: on line
Pages: on line
DOI
Peer Reviewed
-
[Journal Article] Mutations in POLR3A and POLR3B encoding RNA Polymerase III subunits cause an autosomal-recessive hypomyelinating leukoencephalopathy2011
Author(s)
Saitsu H, Osaka H, Sasaki M, Takanashi J, Hamada K, Yamashita A, Shibayama H, Shiina M, Kondo Y, Nishiyama K, Tsurusaki Y, Miyake N, Doi H, Ogata K, Inoue K, Matsumoto N
-
Journal Title
Am J Hum Genet
Volume: 89
Pages: 644-651
DOI
Peer Reviewed
-