2013 Fiscal Year Annual Research Report
骨格筋・心筋におけるAkt1およびAkt2の機能の解明
Project/Area Number |
23591299
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡崎 由希子 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (30422299)
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Keywords | 骨格筋 / 心筋 |
Research Abstract |
骨格筋特異的Akt1/2ダブル欠損マウス(MLC1-Akt1/2DKO)は6週齢の時点から体重減少および速筋優位な骨格筋の重量減少が明らかとなり、これに伴うと思われる筋力低下と自発運動の低下を示した。しかしながらこの時期には全身の耐糖能とインスリン抵抗性は対照マウスと変わらず、またインスリン刺激による骨格筋のグルコース取り込みにも低下を認めなかった。 MLC1-Akt1/2DKOは週齢が進むにつれ、体重増加率の低下、骨格筋重量の低下、筋力低下、持久力の低下を呈した。また、骨格筋中の酸化的リン酸化関連の遺伝子発現、ミトコンドリア生合成関連の遺伝子発現、ミトコンドリア含量も著明に低下していた。 32週齢でMLC1-Akt1/2DKOは耐糖能障害とインスリン抵抗性を呈し、速筋におけるグルコース取り込みも低下を認めた。加えて速筋に本来多く含まれるタイプII線維が減少しており、筋線維面積の減少と線維化の進行を認めた。また全身の持久力も著明に低下していた。また、32週齢でのMLC1-Akt1/2DKO骨格筋のマイクロアレイでは、複数の炎症性サイトカイン等に変化が認められた。100週齢になると、MLC1-Akt1/2DKOの耐糖能障害とインスリン抵抗性はさらに増悪した。 これまでの研究から、心筋においてはAkt1・Akt2はグルコース・脂質代謝の維持に必須であり、ダブル欠損では代謝異常やアポトーシス遺伝子の発現を介して心不全を惹起させる可能性が示唆された。また、骨格筋においてはAkt1・Akt2は骨格筋の量の維持や質の維持に必須であり、また、骨格筋を介する全身の糖代謝に大きく関わっていることが示唆された。
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