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2012 Fiscal Year Research-status Report

末梢組織における新たなインスリン作用の解析

Research Project

Project/Area Number 23591313
Research InstitutionKumamoto University

Principal Investigator

吉澤 達也  熊本大学, 大学院生命科学研究部, 講師 (40313530)

Keywordsインスリン / 糖代謝 / シグナル伝達 / 糖尿病
Research Abstract

<目的> 腸管は、糖・エネルギー代謝に重要な組織であるが、腸管組織へのインスリン作用については十分に明らかではない。そこで、申請者らは、腸管特異的インスリン受容体ノックアウトマウスを作製し、糖・エネルギー代謝への影響を解析することとした。
<研究実績>
1)腸管におけるインスリン作用の解析:申請者らは、インスリン受容体ゲノムにloxP配列が導入された(IR floxed)マウスと腸管上皮細胞特異的にCre酵素を発現する(Villin-Cre)マウスを交配し、腸管特異的インスリン受容体ノックアウトマウスを作製した。平成24年度は、このノックアウトマウスを用いて、耐糖能試験・インスリン感受性試験・ピルビン酸負荷試験・インスリン分泌能試験等の代謝実験を行った。その結果、腸管へのインスリン作用は糖代謝に重要な役割を果たしていることが明らかとなった。その分子機構を解明する一端として、ノックアウトマウスから採取した腸管の遺伝子発現パターンをDNAマイクロアレイにて解析した。その結果、非常に興味深い遺伝子群の発現が変化しており、現在詳細な解析が進行中である。また、各種組織を用いた組織学的検討を行っている。予備的な結果ではあるが、骨代謝に影響が見られており、今後も検討を続ける予定である。
2)インスリンシグナル伝達系について:申請者らは、野生型マウスにインスリンを投与し、経時的に十二指腸・空腸・回腸を回収、インスリン標的遺伝子、糖新生関連遺伝子、腸管由来ホルモン遺伝子等の各種遺伝子発現変化について、RT-PCR法等で検討している。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

研究全体はおおむね順調に行われているが、腸管特異的インスリン受容体ノックアウトマウスの作製およびコロニーの拡大がやや遅れた。
その理由として、まず、23年度始めに米国コロンビア大学から供与される予定であったIR floxed(インスリン受容体ゲノムにloxP配列が導入された)マウスが、コロンビア大学マウス施設の移転のため大幅に送れ、23年度中頃に熊本大学に輸送されたことが挙げられる。さらに、熊本大学マウス施設では、マウス個体の直接搬入は禁止されており、いったん精子を採取後、体外受精によりクリーニングを行わなければならなかったため、当初の計画より4ヶ月程遅れた。また、24年度には熊本大学マウス施設に問題が発生し、いったん増やしたコロニーを縮小せざるを得なかったことから、実験に使用する為のマウスの数を確保するのが限定されてしまった。

Strategy for Future Research Activity

腸管におけるインスリン作用の解析:まず、腸管特異的インスリン受容体ノックアウトマウスを数多く作製する。これらのマウスを用いて、糖・エネルギー代謝についてさらに詳細に解析する。具体的には、耐糖能試験・インスリン感受性試験・ピルビン酸負荷試験・インスリン分泌能試験等の代謝実験、代謝ケージを用いたエネルギー代謝実験、血中インスリン・グルコース・脂肪酸・トリグリセリド等の濃度測定を統計学的優位さが認められるまで数多く行う。また、組織学的検討を行なっていく。次に、以下の点について腸管特異的インスリン受容体ノックアウトマウスを用いて多方面から解析し、変異発症のメカニズムを明らかにする。
a. 消化・吸収について:まず、より詳細な血液生化学的検査を行い、変化のある項目をスクリーニングする。変化のあった項目においては、小腸還流実験や培養細胞による実験を行い、吸収能について解析する。また、血液生化学的検査結果から変化が疑われる消
化酵素群の合成・分泌について解析する。
b. 腸由来ホルモンにについて:上記の糖・エネルギー代謝に関する実験の結果から、血中濃度に変化があると疑われる腸管由来ホルモンを選択し、ELISA法にて血中濃度を測定する。血中濃度に著しい変化のあったホルモンについては、その遺伝子発現、タンパク質発現、分泌について詳細に検討する。
c. 糖新生について:マウスを飢餓状態にし、グリコーゲン分解がほぼ終了したあとの糖新生に異常があるか否かを検討する。またその時、G6PaseやPEPCK等の糖新生関連酵素群の発現を解析する。
d. 骨代謝について:骨形態計測法により、より詳細な骨代謝への影響を検討する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

組織特異的インスリン受容体ノックアウトマウスの作製・解析のため、研究経費のほとんどは実験動物費用を含む消耗品費に割り当てられる。消耗品費の内訳として、PCR用プライマーや抗体等の遺伝子解析用試薬・消耗品、培養細胞培養液や遺伝子導入試薬等の培養細胞解析試薬・消耗品、グルコース代謝実験試薬やELISA等の動物実験用試薬・消耗品を計上した。本研究を遂行するにあたり、現有設備で充足されるため、新規に購入する設備はない。また、全体の研究経費の90%を越える項目はない。

URL: 

Published: 2014-07-24  

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