2013 Fiscal Year Annual Research Report
メタボリックシンドロームに対する分子標的療法の開発
Project/Area Number |
23591318
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
岸田 綱郎 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00370205)
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Keywords | メタボリックシンドローム / iPS細胞 / 褐色脂肪細胞 |
Research Abstract |
褐色脂肪細胞は、主としてミトコンドリア内膜に局在するUCP1たんぱくの機能により、脂肪酸を酸化分解したエネルギーを熱として放散する細胞であり、肥満やII型糖尿病の病態にも重要な意義を有することが、げっ歯類等でよく知られている。ヒトにおいても、肥満者やII型糖尿病患者では褐色脂肪組織の機能が低いことから、褐色脂肪細胞を誘導しあるいは活性化することができれば、これら疾患の治療に繋がる可能性が期待できる。しかしながら、ヒトの褐色脂肪細胞は、機能性で培養可能なものが事実上availableでなかったため、このような研究はほとんど進んでいない。我々は最近、ヒトの褐色脂肪細胞を誘導する新しい技術を開発した。そこで本研究では、この技術に種々の創薬システムを応用することで、ヒト褐色脂肪細胞を誘導、増殖あるいは活性化させるための新規分子標的薬剤の開発を目指した。その結果、ヒト褐色脂肪細胞の誘導に寄与する可能性のある小分子化合物の候補を見出した。この候補化合物をリード化合物として合成展開し、あるいはこれらの化合物をミミックするペプチドを構築することにより、さらに優れた褐色脂肪細胞の分化誘導系を構築できる可能性がある。また、これらの化合物やペプチドの標的分子を探索することで、褐色脂肪細胞の誘導のメカニズム解明につながるであろう。本研究の成果は、未解明な点が多いヒト褐色脂肪細胞の分化機構、生理機能、病態における役割等の解明や制御技術の確立等に極めて有用であるのみならず、メタボリック症候群やII型糖尿病に対する新しい分子標的治療の創生に結びつくものと期待できる。
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