2013 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病性腎症の発症・進展における多機能性生理活性ペプチドサリューシンβの役割
Project/Area Number |
23591322
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
守屋 達美 北里大学, 医学部, 教授 (50191052)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 哲秀 北里大学, 医学部, 助教 (60276144)
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Keywords | 糖尿病性腎症 / 腎機能 / サリューシン |
Research Abstract |
【目的】前年度に引き続き、サリューシン-βの糖尿病性合併症、特に腎症の血管病変における病態生理学的意義を明らかにし、腎症の新たなる特異的マーカーになりうるかどうかを目的に検討を行った。特に腎症の特徴的所見である糸球体過剰濾過との関連を検討した。 【対象】正常対照群28例(C群:男性12例、56±8歳、iohexol-GFR 100.3±21.5 ml/min/1.73m2)、1型糖尿病10例(T1群:男性5例、39±11歳、iohexol-GFR 140.2±34.6 ml/min/1.73m2)、2型糖尿病66例(T2群:男性44例、56±12歳、iohexol-GFR 108.6±27.8 ml/min/1.73m2)に腎機能検査とサリューシン他の測定を行った。1型糖尿病の年齢は有意に若く(ANOVA p<0.01)、腎機能は有意に高かった(ANOVA p<0.001)。 【方法】非イオン性水溶性造影剤であるアイオヘキソールを静脈注射し、その血中濃度の減衰から糸球体濾過値(GFR)を算出する(Jin Y., Moriya T. et al.: Diabetes Res Clin Pract 71: 264-271, 2006)。その際の採血から血漿サリューシン濃度を、4時間尿から尿中アルブミン排泄量を測定する。 【結果】1)血漿サリューシンβ濃度は、C群 4.11±1.68 nmol/l、T1群4.71±2.04、T2群4.40±1.87と3群に差を認めなかった。糖尿病群全体でも4.44±1.89 nmol/lであり、C群と差を認めなかった。2)糖尿病群全体では、正常アルブミン尿期(58例)は4.44±1.90 nmol/l、微量アルブミン尿期(18例)は4.42±1.89と差を認めなかった。3)iohexol-GFRと血漿サリューシンβ濃度との間には相関を認めなかった。また、GFR 130 以上を糸球体過剰濾過例(16例)とし、正常濾過例と比較したが、両者の差はみられなかった。 【結論】現段階でのcross-sectionalな検討では、血漿サリューシンβ濃度は腎機能および尿中アルブミン排泄と関連は認めなかった。今後、腎機能および尿アルブミンの予後との関連および治療への反応性を検討する必要があろう。
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Research Products
(3 results)