2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23591324
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
荻原 健 順天堂大学, 医学部, 准教授 (60399772)
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Keywords | Set9 / β細胞 / メチル化 / iNOS / 炎症 |
Research Abstract |
インスリン分泌不全は糖尿病発症に重要な役割を果たしており、インスリンを産生する膵β細胞機能不全に炎症の関与が示唆される。メチル化酵素Set7/9が、炎症を制御する転写因子NF-κBの構成因子であるp65と結合することが非β細胞において報告された。Set7/9は膵島に豊富に発現することから、Set7/9が膵島の炎症に関与するとの仮説を立て、マウス膵β細胞腫瘍株であるβTC3細胞を用いて実験を施行した。 βTC3細胞においてSet7/9をノックダウンし、膵島炎を再現するために炎症性サイトカインで刺激した。NF-κB標的遺伝子の発現量を評価した結果、NOS2遺伝子とその転写産物であるiNOSのサイトカイン応答性発現が、Set7/9のノックダウン伴い抑制された。iNOSが産生するNOはβ細胞障害/細胞死に関与していることから、炎症性サイトカイン刺激に伴うアポトーシスを評価した。βTC3細胞におけるサイトカイン応答性のアポトーシス増加が、Set7/9ノックダウンにより抑制されていた。 βTC3細胞においてもSet7/9はp65と複合体を形成し、NF-κBと同様にSet7/9がサイトカイン応答性に核内へ移行することを確認した。Set7/9は、ヒストン3蛋白のリジン4(H3K4)のメチル化を介してeuchromatin化を促進し、転写を活性化する。サイトカイン刺激によりNOS2遺伝子のH3K4メチル化が亢進し、Set7/9ノックダウンにより、そのメチル化が障害された。更に、Set7/9ノックアウトマウスの単離膵島においても、サイトカイン応答性NOS2発現上昇が抑制された。 以上の結果から、Set7/9がNOS2遺伝子のクロマチン構造制御を介して、膵島の炎症に関与することが示唆された。本研究の意義は、メチル化修飾による炎症の制御機構を明らかにし、糖尿病の新たな治療法の開発に貢献することである。
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Research Products
(2 results)