2013 Fiscal Year Annual Research Report
膵島エピゲノム変化による耐糖能異常進展過程に関するゲノム網羅的解析
Project/Area Number |
23591330
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Research Institution | 独立行政法人国立国際医療研究センター |
Principal Investigator |
南茂 隆生 独立行政法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 室長 (50594115)
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Keywords | エネルギー・糖代謝異常 / 膵ベータ細胞 / 環境因子 / エピジェネティクス / 遺伝子発現 / ゲノム網羅的解析 / マウスモデル / 2型糖尿病 |
Research Abstract |
これまでに、HFDマウス(60%高脂肪食を摂取させたC57BL/6Jマウス)から得られた膵島を用いたゲノム網羅的検討の結果、エピゲノム状態(プロモーター・エンハンサーのマーカーであるH3K27ac)の変化が遺伝子発現変動と関連していることを確認してきた。腹腔内ブドウ糖負荷試験を行うと、より長期間のHFD摂取によって耐糖能の低下傾向は認められるが、随時血糖の上昇がわずかであることから、このモデルでは代償機序が働いているものと考えられる。そこで、糖尿病の発症機序を検討する目的にて、近交系化された自然発症糖尿病モデルマウスであるKKマウスについて、同様の解析手法を用い、より詳細な検討を行った。このマウスモデルは、遺伝素因が均一であるにもかかわらず、糖尿病の経過は飼育環境によって大きく左右される。この点に着目し、無作為に二群に分けたKKマウスを、観察期間中に糖尿病の発症群(実験群)と非発症群(対照群)に分けることに成功した。代償モデルであるHFDマウスと同様に、H3K27acの変化は遺伝子発現変化と関連していた。観察早期においては、実験群でも高血糖は顕性化せず、代償機序が働いている可能性があるが、この時期にある膵島はHFDマウスのように、H3K27acが変化している領域の過半数はシグナルが増加しており、近傍の遺伝子発現を対照群と比べて活性化する方向に変化していた。興味深いことに、実験群で高血糖が観察される観察後期になると、増加するH3K27acの領域数は変化する領域全体の半数未満に減少してしまい、機能的にも代償機序には関連しないものと考えられた。2型糖尿病の経過中に、病態の責任臓器において、環境因子の変化や代償機序の破綻と前後して変化するヒストン修飾や遺伝子発現を捉えたことは、疾患メカニズム解明および治療標的探索にとって重要であると考えられる。
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[Journal Article] Pancreatic islet enhancer clusters enriched in type 2 diabetes risk-associated variants.2014
Author(s)
Pasquali L, Gaulton KJ, Rodriguez-Segui SA, Mularoni L, Miguel-Escalada I, Akerman I, Tena JJ, Moran I, Gomez-Marin C, van de Bunt M, Ponsa-Cobas J, Castro N, Nammo T, Cebola I, Garcia-Hurtado J, Maestro MA, Pattou F, Piemonti L, Berney T, Gloyn AL, Ravassard P, Gomez-Skarmeta JL, Muller F, McCarthy MI, Ferrer J.
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Journal Title
Nat Genet.
Volume: 46
Pages: 136-143
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Quantitative assessment of Pdx1 promoter activity in vivo using a secreted luciferase reporter system.2013
Author(s)
Nishimura W, Eto K, Miki A, Goto M, Kawaguchi M, Nammo T, Udagawa H, Hiramoto M, Shimizu Y, Okamura T, Fujiwara T, Yasuda Y, Yasuda K
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Journal Title
Endocrinology.
Volume: 154
Pages: 4388-4395
DOI
Peer Reviewed
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