2013 Fiscal Year Annual Research Report
リポ蛋白質HDLの抗動脈硬化作用におけるAMPキナーゼの役割と循環器疾患治療薬
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23591331
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
木村 孝穂 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90396656)
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Keywords | 動脈硬化 / HDL / 血管内皮細胞 |
Research Abstract |
ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)にHDLを作用させるとHDLがNO合成酵素(eNOS)活性化に伴いAMPキナーゼ(AMPK)活性化を促進することが確認できた。このHDL作用におけるアポ蛋白/スカベンジャー受容体(SR-BI)及びS1P/S1P受容体とAMPKの役割を明らかにするためシグナル伝達系の解析を行った結果、HUVECではS1P/S1P受容体/AMPK/Akt/eNOSとアポ蛋白/SR-BI/PDZK-1/AMPK/Akt/eNOSの二つの独立したシグナル伝達系がHDL刺激により促進されることが明らかになった。アポ蛋白/SR-BIを介したシグナル伝達系によるAMPK活性化にはLKB1とカルモジュリンキナーゼが関与している。その一方、S1P/S1P受容体を介したシグナル伝達系ではカルモジュリンキナーゼが関与しているがLKB1は関与していないことが明らかになった。更にAMPKを活性化する薬剤がHUVECにおけるeNOSやSR-BIの発現に及ぼす影響を調べた。コレステロール合成阻害薬であるシンバスタチン、脂質代謝改善薬であるフェノフィブレート、AMPK刺激薬であるAICARはeNOS、SR-BI両方の蛋白発現を増強し、糖新生阻害薬であるメトホルミンはSR-BIの蛋白発現を増強したがeNOSの蛋白発現増強効果は他の薬剤に比べて小さかった。シンバスタチンとフェノフィブレートの同時添加でHUVECを前処理するとHDL刺激によるAMPK/Akt/eNOS活性化効果が相加的に増強された。抗血小板薬であるシロスタゾールはシンバスタチンと同様にAMPKを活性化し、eNOSとSR-BIの発現を増強した。in vitroの実験であるが糖尿病治療薬、脂質代謝改善薬及び抗血小板薬が本来の薬効に加えて血管内皮機能機能を改善する多面的効果を発揮することが明らかになった。
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Research Products
(4 results)