2011 Fiscal Year Research-status Report
転写共役因子PDIP1欠損による脂質代謝異常の病態解析とPDIP1の分子機能解析
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23591332
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
佐藤 哲郎 群馬大学, 医学部, 助教 (40302484)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 核内受容体 / PPARγ / 転写共役因子 / PDIP1 / 脂質代謝 / 脂肪肝 / 肥満 / メタボリック症候群 |
Research Abstract |
近年私達は、核内受容体PPARγに結合する新規転写共役因子PPARγ DNA-binding domain-interacting protein1 (PDIP1)を単離し、その生体内機能を解析する目的でPDIP1 knock-out (KO)マウスを樹立した。これまでの研究成果から、このPDIP1KOマウスは高脂肪食 (HFD)誘導性肥満抵抗性、および脂肪肝抵抗性を示すことが判明している。その成因としてHFD下においてPDIP1KOマウス肝臓では、中性脂肪合成系酵素群の発現低下に加えて、脂肪酸βおよびω酸化に関与する遺伝子群発現の増加を認め、AMP-activated protein kinase (AMPK)活性化ならびに脂肪酸β酸化亢進を認めた。一方、PDIP1KOマウス褐色脂肪組織における適応熱産生に関与する遺伝子発現や、骨格筋におけるAMPK活性はWTと有意差を認めなかった。このPDIP1KOマウスにおける肝臓特異的なAMPK活性化の分子機構を解明する目的で、肝臓mRNAマイクロアレイ解析を行い、AMPK活性化の上流分子を探索した。その結果、WTに比較して大変動する遺伝子を同定し、quantitative RT-PCRを用いてその肝臓特異的な変動を確認した。次に、PDIP1KOマウスとその遺伝子KOマウスとを交配してdouble KOマウスを樹立し、PDIP1KOマウスで認められたHFD誘導性肥満抵抗性がこのdouble KOマウスで明らかに減弱することを確認した。更に、PDIP1が肝臓におけるその遺伝子発現調節に関与することを、一次培養肝細胞ならびHepG2細胞を用いた系で確認した。以上の成績より、PDIP1はHFDによる肥満・脂肪肝増悪性転写共役因子として機能することが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PDIP1ノックアウトマウスにおける高脂肪食誘導性肥満および脂肪肝抵抗性の分子機序を解明する目的で、マイクロアレイ解析によって肝臓におけるPDIP1標的遺伝子を同定し、その発現調節に直接PDIP1が関与していることが判明した。
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Strategy for Future Research Activity |
生化学的手法を用いて新規PDIP1結合蛋白を同定し、PDIP1複合体による標的遺伝子転写制御機構を明らかとする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
LC/MS/MSによるアミノ酸分析費や、in vitroにおけるPDIP1と新規単離蛋白との結合解析実験、それらを蛍光蛋白で標識して細胞内局在の探索、および新規蛋白の機能解析に使用する。
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