2011 Fiscal Year Research-status Report
マクロファージのCOX-2を介したPPAR活性化機序と動脈硬化抑制効果の解析
Project/Area Number |
23591337
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
竹田 佳代 熊本大学, 医学部附属病院, 医員 (10537088)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 栄一 熊本大学, 生命科学研究部, 教授 (10253733)
松村 剛 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (20398192)
石井 規夫 熊本大学, 医学部附属病院, 医員 (10599111)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 脂質代謝異常 |
Research Abstract |
本研究の目的はCOX-2過剰発現マクロファージによるPPARs活性化機序及び抗動脈硬化作用の検討であるが、平成23年度は、以下に示すように(1)マクロファージにおけるCOX-2過剰発現による PPARα及びPPARγ活性化の検討、(2)COX-2過剰産生マクロファージにおける抗動脈硬化作用発現の検討、の2つの検討を行った。(1)COX-2発現プラスミド(pcDNA5-COX-2)を用いたCOX-2過剰発現RAW264.7細胞(マクロファージ)を構築し、その細胞のにPPARα、PPARγ活性をLuciferase法で測定したところ、コントロールの細胞に比し有意なPPARα、PPARγ活性上昇を認めた。また、COX-2過剰産生マクロファージの細胞内15d-PGJ2、PGE2、PGD2生成量は有意に上昇した。(2)COX-2過剰発現RAW264.7細胞に対しlipopolysaccaride(LPS)存在下、非存在下にて4から24時間培養し、mRNA、細胞蛋白及び培養液を回収。TNF-α、MCP-1の産生をReal-time RT-PCR法、ELISA法にて検討したところ、LPSによるTNF-α、MCP-1の発現はCOX-2過剰発現RAW264.7細胞では有意に減弱した。さらにPPARα、PPARγのsiRNAでPPARα、PPARγの発現を抑制させたCOX-2過剰発現RAW264.7細胞では、これらTNF-α、MCP-1の発現減弱効果は有意に回復した。 以上の結果から、COX-2の過剰発現は、マクロファージでのPPARα、PPARγ活性を上昇させること、さらにこれらPPARα、PPARγ活性上昇を介した抗動脈硬化作用を発揮することが考えられ、COX-2過剰発現が動脈硬化症に対し進展抑制効果の示す可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験計画ではMMP-9の産生やMMPの活性を測定する予定であったが、時間の関係で結果は得られていない。ただし、本研究の平成23年度の研究計画である、(1)COX-2の過剰発現がPPARα、PPARγの活性を上昇させるのか、(2)このCOX-2の過剰発現がマクロファージにおいて抗動脈硬化的作用を誘導するのか、という検討課題に対し、(1)については予想に反しない十分満足し得る結果が得られていること、(2)に関しては、IL-1β、MMP-9、ABCA1、ABCG1の産生やMMPの活性測定はできていないが、他の動脈硬化惹起因子であるTNF-α、MCP-1に関しては予想した結果が得られているため、当初の研究目的はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度は、本来の実験計画ではMMP-9、ABCA1、ABCG1の産生へのCOX-2過剰発現の影響を観察する予定であったが、他の実験の進行速度が予想に反して遅かったため、また再現性を確認する実験に時間を費やす必要が生じたために、実施できなかった。そのため前述の実験を行うための物品の購入費を次年度への繰り越しとさせていただいた。このことを踏まえて本年度(平成24年度)に、上記MMP-9、ABCA1、ABCG1の産生に対するCOX-2過剰発現の影響に関する検討を行う予定とする。 また本年度は、COX-2過剰発現の動脈硬化進展の影響を観察するための動物モデルを作成することを目的とした実験を計画しているが、そのためにまず、(1)マクロファージ特異的COX-2発現ベクターを構築する。次に、(2)作成したマクロファージ特異的COX-2発現ベクターを用いてマクロファージ特異的COX-2発現マウスを作成する、さらに、(3)このマクロファージ特異的COX-2発現マウスと動脈硬化モデルマウスであるapoE欠損マウスを用いて、マクロファージ特異的COX-2発現/apoE欠損マウスを作成する予定である。 上記の実験から得られたマウスを用い、最終年度には、動脈硬化進展へのCOX-2過剰発現の影響をin vivoで観察する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1)MMP-9、ABCA1、ABCG1の産生へのCOX-2過剰発現の影響に関しては、標的遺伝子のmRNAの定量に用いるreal-time RT-PCR用物品・試薬とPCRプローブの購入費、目的タンパクの同定に必要なWestern blot用物品・試薬と特異抗体の購入費として、前年度繰り越しを行った540,000円を使用する予定である。(2)マクロファージ特異的COX-2発現ベクターの構築に関しては、ベクター構築用の試薬、COX-2特異的抗体、COX-2発現ベクターの遺伝子配列確認のための試薬及びPCR用プローブ費、COX-2発現ベクターの細胞内導入用試薬、細胞培養用試薬の購入費として、合計400,000円を使用する予定である。(3)マクロファージ特異的COX-2発現/apoE欠損マウスの作成に関しては、遺伝子改変マウス作成に関する費用(熊本大学 生命資源研究・支援センター 動物資源開発研究部門への支払い)、作成したマウスの動物管理及び維持費、作成した改変マウスの確認用DNA抽出試薬及び遺伝子同定用のPCR用物品・試薬とPCRプローブ費用に、合計700,000円使用する予定である。
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Research Products
(9 results)
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[Presentation] 2型糖尿病の脂質管理におけるピタバスタチンの有用性の検討.2011
Author(s)
竹田佳代, 松村剛, 嶋田さやか, 水流添 覚, 本島寛之, 近藤龍也, 久木留大介, 古川 昇, 下田誠也, 宮村信博, 西川武志, 荒木栄一
Organizer
第54回日本糖尿病学会総会
Place of Presentation
札幌
Year and Date
2011 – 519-2011521
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