2012 Fiscal Year Research-status Report
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23591338
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
辻田 麻紀 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (10253262)
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Keywords | SR-BI / 小腸 / HDL / TICE |
Research Abstract |
小腸上皮細胞は食事由来のコレステロールをTAGと共にキロミクロンに組み込み、リンパ中へ放出する経路を有するが、また肝臓と同様にHDL新生機構の第一段階といえるapolipoprotein A-I(apoA-I)の産生・分泌を行う、重要な細胞である。小腸上皮細胞では基底膜側において分泌されたapoA-Iが細胞表面のABCA1トランスポーターと共同的に機能することで初期HDLが形成される。本実験ではapoA-Iを構成タンパク質とするHDL粒子中のコレステリルエステルを選択的に取り込むスカベンジャー受容体SR-BIの局在を判定することを目的とする。長鎖脂肪酸の受容体であるCD36と同様にSR-BIは小腸では腸管側からのコレステロールエステルの取り込みに関与することが報告されている。今回我々はマウス舌有核乳頭、葉状乳頭、茸状乳頭中の味蕾の味細胞中にSR-BIを検出した。同様な手法を用いて小腸上皮細胞におけるSR-BIの局在と細胞内局在を検討し、TICEと称される小腸を介した(胆汁を介さない)コレステロール搬出経路へのSR-BIの関与を検討することを目的としている。基質となる血漿中apoA-Iは実験モデル動物のマウスでは異なるpIを有する3種類を見つけた(ヒト血漿中では2種類のみ)。これらのapoA-Iを構成蛋白質とするHDLからのSR-BIを介したコレステロール輸送がヒトとマウスでTICEが異なる理由の一因であると仮定し、TICEへのSR-BI並びにLDLRの寄与を検討する。また最も高いpIを有するマウスapoAIは細胞コレステロール搬出能が消失していた。更にこれらを単離し、転写後修飾の機構とその役割を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
SR-BIの遺伝子改変マウスの繁殖が不調であった。オランダのグループからProbucol投与飼料を用いた繁殖方法を聞き現在は繁殖率が少し上昇している。できるだけ早く欠損個体を得て検討を行いたい。昨年度単離した複数のmouse apoA-IのLC/MSでの解析をNIH並びにシンシナティ―大学へ依頼した。担当者の変更等で現在も最後の一種類についての結果を待っている。
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Strategy for Future Research Activity |
逆コレステロール輸送経路の中で、胆汁酸を介さないTransintestinal cholesterol efflux(TICE)経路の候補としてSR-BIを介する血漿HDLの関与を予測しているが、以前の研究では標識したマウス総HDLを用いた検討であり、昨年までの検討では複数のpIの異なるapoA-Iが存在し、マウスSR-BIとの反応にはいずれのマウスapoA-Iが本質的に重要であるか不明である。HDL上のapoA-Iは過剰な遊離apoA-Iにより交換可能である。これによりヒト血漿HDLより単離したHDL上のapoA-Iを単離した3種類のマウスapoA-Iと置き換えてそれぞれのマウスapoA-Iを構成蛋白質とするHDLを調整する。マウスapoA-Iのモノクローナル抗体はストックホルムの企業に依頼して作成した。46種類全てBiotin結合済みであり高感度での分析が期待される。これを用いてHDL上と遊離のマウスapoA-Iを判定する。14C標識CEt(コレステリルエーテル)を含むHDLをマウスに投与し、野生型とSR-BI欠損マウスでの小腸への標識量を比較する。 更にマウス小腸凍結切片を作成し、4%PFA+0.1MPBで固定後、抗SR-BIと抗ABCA1抗体の組み合わせ並びに抗SR-BI抗体と抗ABCG5/G8抗体の組み合わせによりSR-BIの細胞膜上の局在を予測する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費はマウス飼育費用に加え、放射ラベルコレステロール、apoA-I精製用Urea、DE52イオン交換カラム、組織染色に使用する各種ビオチン標識抗体とストレプトアビジン結合Alxaなどである。 研究成果は日本生化学会、日本動脈硬化学会、そして米国心臓協会ATVBにて行い、その旅費並びに投稿に関する費用を予定している。
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Research Products
(5 results)
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[Presentation] An anion-exchange chromatography isolated sub-fraction of mouse apolipoprotein A-I is unable to activate cellular cholesterol release from mouse peritoneal macrophage foam cells.2012
Author(s)
Okumura-Noji Kuniko, Cavigiolio Giorgio, Huang Rong, Davidson W Sean, Akita Nobukatsu, Okuhira Kei-ichiro, Yokoyama Shinji, Tsujita Maki.
Organizer
Arteriosclerosis, Thrombosis and Vascular Biology 2012 Scientific Sessions
Place of Presentation
Hilton Chicago, Chicago, Il, USA.
Year and Date
20120418-20120420
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[Presentation] Heterogeneity of human and mouse apolipoprotein A-I fractioned revealed by ion-exchange chromatography.2012
Author(s)
Okumura-Noji K, Huang R, Akita N, Remaley AT, Gonzalez FJ, Yokoyama S, Davidson WS , Tsujita M.
Organizer
International Symposium on Atherosclerosis Satellite Symposium High Density Lipoproteins: biology and therapeutics
Place of Presentation
Hilton Hotel Cairns, Cairns, TNQ, Australia
Year and Date
20120330-20120401