2011 Fiscal Year Research-status Report
細胞質甲状腺ホルモン結合蛋白質の生理的機能多様性:炎症と低T3症候群への関与
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23591349
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
鈴木 悟 信州大学, 医学系研究科, 准教授 (30222061)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 甲状腺ホルモン |
Research Abstract |
CRYM発現調節細胞を用いた酸化還元状態における甲状腺ホルモン応答遺伝子の反応様式について、ラット成長ホルモン、脱ヨード酵素1型、2型、3型のRNA発現を、チャコールストリップ血清(甲状腺ホルモン不含の血清)を含んだ培養液で培養後、甲状腺ホルモン添加後、24時間、48時間、72時間での発現変化を検討した。その後、24時間ホルモン存在下培養後、培養液をホルモン不含に切り換えて、経時的なRNA発現変化を検討した。その結果、CRYM発現細胞では明らかに、甲状腺ホルモン応答性遺伝子の発現増強を認め、なおかつ、ホルモン枯渇によってもその発現はCRYM発現細胞株でより顕著に遅延した。この効果はmRNAの安定性の違いではないことから、CRYMがその発現により、ホルモンを細胞に保持し、転写へ影響を与えていることの裏付けになる結果であった。培養細胞を用い酸素1.3%下での成長ホルモン発現を検討すると、甲状腺ホルモン添加との相乗効果が見られた。マウスにリポポリサッカライドを皮下注射し、5日後の血清T3濃度変化につき検討した。CRYMノックアウトマウスではT3が有意に低下した。培養液交換後、経時的、経量的にホルモンの取り込みを核、細胞質に分けて検討する。ラットdRLh細胞でのCRYM細胞内発現をCRYMモノクロナール抗体で検討した。強制発現による細胞では、細胞質に均一に染色されたのに対し、dRLh細胞では核膜に多く集積する細胞を発見した。細胞内での局在が強制発現ではない場合、生理的には局在に違いが見いだされた。ホルモンによる動きについて検討中である。血清甲状腺ホルモン濃度とTSH濃度の関係について報告した。CRYMについての綜説を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞培養による遺伝子発現解析については当初予定どおり進行中である。インキュベーターの故障が一度あり、その異常が判明するまで、継続した実験があり、一部やり直しを余儀なくされた。しかし、おおむね計画通りであり、無酸素の実験を今後繰り返し、行うことで結果の確認を行う。マウスの実験は、マウスの週数が合わないことがあり、実験条件をそろえるのに難渋した。今後同様のトラブルは起こる可能性がある。実験の個体数を増やすことで統計処理可能であると考えるので、交配数を増やすことで対処する。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、細胞によるホルモン応答遺伝子の発現変化のデータをもとに、生体内での役割を明らかにするため、生体内で急激にホルモン濃度を上昇させた場合、CRYMノックアウトマウスと野生型でのホルモン応答性の違いを定量PCRで経時的に検討することを計画する。細胞内局在の差異についても経時的な細胞内局在の変化について、特にホルモン添加後の変化を詳細に検討する計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
細胞内、生体内いずれの実験系も経時的な変化を定量PCRにより捉えていく手法をメインに実験を組んでいく。このため、定量PCRにかかる、酵素やプローブに研究費を使用する。細胞、組織からRNAを抽出するための試薬を購入する。その後、RNAの変化が蛋白レベルで確認できるかウェスタンブロティングを施行するための試薬、器具に研究費を使用する計画である。
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Research Products
(1 results)