2012 Fiscal Year Research-status Report
分化脂肪細胞内におけるアディポネクチンの分泌経路の同定と調節機構の解明
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23591353
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Research Institution | 独立行政法人国立病院機構(大阪南医療センター臨床研究部) |
Principal Investigator |
大屋 健 独立行政法人国立病院機構(大阪南医療センター臨床研究部), 再生医療研究室, 副室長 (70599315)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大月 道夫 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00403056)
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Keywords | アディポネクチン / 細胞内小胞輸送 / アディポサイトカイン / 分泌制御機構 |
Research Abstract |
アディポネクチン(APN)を分泌する脂肪細胞のモデルとして3T3-L1細胞を用いている。脂肪細胞分化誘導時より生理的範囲内低濃度である0.1nMのインスリンと150micro Mの脂肪酸カクテルを添加する事で、未分化の細胞数を抑え、形態学的により均一で安定した分化度を示す細胞群を得る事が出来た。また、インスリン、脂肪酸添加を行わなかった場合と比し、APN蛋白合成能、分泌能共に上昇かつより安定した結果が得られた。しかし、アッセイの48時間前より脂肪酸濃度を生理的範囲の上限である800micro Mまで上昇させると、蛋白産生量は増加しているのに拘わらず、分泌能は著しく低下し、細胞内貯留量の増加が見られ、高脂肪酸負荷はAPN生成後の分泌過程に影響を及ぼす可能性が考えられた。 分泌小胞上の膜蛋白でありその輸送を制御しているSNARE蛋白のうち、脂肪細胞分化過程で発現上昇が見られるVAMP2、VAMP3、VAMP5、VAMP7のAPN分泌への関与を検討した。インスリン応答性に糖取り込みを行うGLUT4の輸送に関わるVAMP2をsiRNAにより転写阻害した際には、APNの分泌に変化は見られなかった。しかし、多くのホルモンの分泌でリサイクリングエンドゾームを介する輸送に関わっているVAMP3を阻害した場合には、APNの著しい細胞内貯留と分泌能の低下が認められた。そこで、リサイクリングエンドゾームの構築・輸送を制御している低分子量G蛋白質Rab4の関与を検討した。siRNAによりRab4の転写を阻害するとAPNの分泌は大きく阻害された。これより、APNはメインルートとしてリサイクリングエンドゾームを介して分泌されていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
3T3-L1細胞は線維芽細胞の状態に3種類の薬剤による刺激で成熟脂肪細胞に分化させる必要があるが、その分化度は個々の細胞ごとに不均一で未分化のもの多く含まれる。また、脂肪細胞に分化した後でも、経過によってAPNをよく分泌する時期と大きな脂肪滴を形成する時期は異なっており、それらのモザイク状態になっているとの報告がある。培養液に添加する血清のロットによる差異が不均一性の原因となっている可能性があり、少しでもばらつきを減らす目的で、生理的範囲の低濃度インスリンと低濃度かつ生理的組成に近い脂肪酸カクテルを添加して分化誘導を行った。 脂肪分化誘導時に0.1nMのインスリンと150micro Mの脂肪酸のカクテルを添加したところ、比較的小さな脂肪敵を多数含有する形態学上均一な細胞群を得ることが出来た。この細胞群はインスリン、脂肪酸非添加群と比し、明らかにAPNの産生能と分泌能が高い事が確認できた。 Rab4のsiRNAによる阻害効果はmRNAレベルで90%と良好な結果が得られ、その為APNの明確な分泌低下というphenotypeが得る事ができた。また、VAMP3のsiRNAによる阻害効果は66%と十分でないものの、著明な細胞内貯留を認めた。その阻害効果を蛋白レベルで確認しようとwhole cell lysateのwestern blottingを行ったが、発現量が少なく明確なデータを得ることが出来なかった。そこで、ショ糖密度勾配遠心分離法を用いて、APN含有小胞が濃縮されている分画を単離し、確認を行っている。十分な確証が得られなければ、特異抗体による免疫沈降にて濃縮を行い、確認を取る予定である。 本年度は、半ばで研究室の異動があり、実験系の立ち上げと今までのデータの再現確認、更にプロトコールの変更の必要に迫られ、若干の時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
Rab4が制御するリサイクリングエンドゾームより下流にあるとされるエンドゾーム系を制御する低分子量G蛋白質であるRab11、Rab8、Rab14について、siRNAを用いてAPN分泌への影響を検討する。 次に、ショ糖密度勾配遠心分離法にて細胞内小器官の分画を行い、APNの細胞内分布を検討する。また、分泌小胞分画に濃縮されるSNARE蛋白、Rab蛋白の検討を行う。 更に、小胞上のSNARE蛋白質であるVAMPだけでなく、対応する標的膜上の候補SNARE蛋白のsiRNAを行い、VAMP3のパートナーの候補を絞り込む。候補SNARE蛋白が揃ったら、それらの蛋白質が膜上に乗っているリポソームを人工的に作成し、サイトゾール存在下での膜融合アッセイを行い、正規の組み合わせである事の確認を取る。 上記の膜融合アッセイ系に、候補である低分子量G蛋白質の中和抗体を添加する事により阻害効果を検討することでその関与を証明する。低分子量G蛋白質は特異的な機能蛋白と結合する事によって生理的な機能を発揮することより、機能蛋白の中和抗体、あるいはリコンビナント蛋白質添加による影響も検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
より下流を制御していると考えられる候補Rab分子用とVAMP3のパートナーの候補SNARE分子用のsiRNAプローブと抗体を購入する。それら候補SNARE蛋白質を大腸菌発現系にてタグ付き蛋白質として発現させ精製を行う。精製に問題がある場合は市販の蛋白質の購入も考慮する。現在既に研究室内に有るシステムを使用するが、不足分の購入に本研究費を当てる予定である。 リポソーム作成には、リン脂質とSNARE蛋白質をdetergent存在下で混合し、透析により緩徐にdetergentを除去する方法を取る予定であるが、その為の各種リン脂質とdetergentを購入する。また、密度勾配遠心分離法によるリポソーム精製に必要なスゥイングローターを購入予定である。
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Research Products
(1 results)