2011 Fiscal Year Research-status Report
下垂体機能低下症における新規自己抗体の同定と臨床応用
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23591354
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
井口 元三 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (60346260)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 裕 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70301281)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 下垂体機能低下症 / 抗Pit-1抗体 / 抗Pit-1抗体症候群 |
Research Abstract |
本研究は下垂体機能低下症において、新規に同定した抗Pit-1抗体を解析し、新たな診断・治療方法へ展開する事を目的とする。しかしながら、この病態を検討するに足る症例数が不足しており、その実態を把握することは困難を極めている。 潜在している可能性が高い群として、小児発症下垂体機能低下症や、高齢者で原因不明とされていた下垂体機能低下症中に抗Pit-1抗体陽性例や他の転写因子に対する自己抗体が潜在している可能性があるため、PIT-1異常症が疑われたがPIT-1, PROP1等9種類の候補遺伝子のコーディング領域に変異を認めなかった小児発症下垂体機能低下症9例において抗PIT-1抗体の有無を検討と、成人ACTH単独欠損症6例において抗TPIT抗体の有無についてウエスタンブロット法を用いて検討を行った。しかしながら、患者血清中においてはPIT-1、TPITに対する自己抗体は認めなかった。 また、抗Pit-1抗体測定ELISAを用いて下垂体腫瘍症例(男/女=7/9=16)、下垂体機能低下症例(5/6=11)、その他自己免疫疾患症例(1型糖尿病(5例)、ATD(5例)、APS-II(6例)、SLE・RA・その他膠原病(41例))および正常者(190例)の血清で抗Pit-1抗体の有無について検討したが、上記疾患では認めなかった。 現在、抗Pit-1抗体が「原因」であるのか「結果」なのかを明らかにするために、マウスにヒト抗Pit-1抗体陽性患者の血清から抽出した免疫グロブリンを注入し、ヒトで認められた病態が再現できるか、抗体移入実験を進行している。また、新規自己抗体の解析として、自己免疫機序を基盤とすると考えられる下垂体機能低下症およびコントロール血清で下垂体cDNAライブラリを用いたプラークハイブリダイゼーションを行い、自己抗体に対する抗原蛋白の検索を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
我々が新規に同定した下垂体特異的転写因子Pit-1に対する自己抗体(抗Pit-1抗体)の解析を進めているが、現在の総数が3症例と、病態を検討するに足る症例数が不足しており、その実態を把握することは困難を極めている。 潜在する可能性が高い群のスクリーニングを行っている。しかしながら、候補群である遺伝子変異を認めない小児発症下垂体機能低下症群や、高齢者で原因不明とされていた下垂体機能低下症群において、抗Pit-1抗体陽性例や新規因子に対する自己抗体を検索しているが、昨年度中に解析し得た症例群では目的とする自己抗体を認めなかった。 今後症例を増やして解析を進める必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
抗Pit-1抗体症候群患者のサンプルを用いたELISPOTアッセイ法を用いてPit-1反応性T細胞の有無を検討する。これまで報告されている自己抗体である抗核抗体、抗DNA抗体、抗胃壁抗体、IgGサブクラス等の測定を行い他の自己免疫疾患との関連について検討する。 自己免疫機序を基盤とすると考えられる下垂体機能低下症およびコントロール血清で下垂体cDNAライブラリを用いたプラークハイブリダイゼーションを行い、自己抗体に対する抗原蛋白の検索を進めている。 新規自己抗体が、機能について報告のない蛋白であれば、その配列を手がかりに機能解析を行う。下垂体機能低下症のみを引き起こすのか、単離された遺伝子の生体内分布を解析するため、全長cDNA を単離し、マウス、ラット組織を用いて全身の他組織での発現をノザンブロッテイングで検討する。さらに蛋白レベルでも発現が見られる事を確認する。発現の多い組織の細胞を用いて、発現ベクターを用いた過剰発現、アンチセンスを用いた細胞レベルでの発現抑制によって増殖、分化を含めその細胞の固有の機能に影響を与えないか解析する。下垂体由来の培養細胞(GH3、MtT)および非下垂体由来の培養細胞(HeLa、COS-7)において、遺伝子組み換え蛋白発現ベクターを用いて過剰発現させる。トランスフェクションを行った各種培養細胞において、新規抗原蛋白の機能解析を行う。バキュロウイルス系で遺伝子組み換え蛋白を発現させる。その際タグをつけて発現させ、タグに対する抗体を用いたカラムで蛋白の精製を行う。精製した蛋白と自己抗体との結合をin vitroで確認し、どの部位を認識する抗体であるかを確認する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
原因不明の下垂体機能低下症患者の新たなる診断・治療法の確立を目指し、自己抗体を測定するアッセイ系の確立を目的として、抗Pit-1抗体でのELISAスクリーニングと同様に、下垂体機能低下症血清およびコントロール血清をスクリーニングし、臨床的特徴と対比しながら疾患分類を行う。 さらに、「臨床診断に用いることが可能か」について神戸大学附属病院に通院する「下垂体機能低下症」症例で解析および検討する。これらの得られた結果を取りまとめ、成果の発表を行う。 尚、次年度使用額6,460円は当該年度の使用額と合わせて使用する。
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Research Products
(3 results)