2012 Fiscal Year Research-status Report
新規ペプチドNERPおよび新規グラニン由来ペプチドのインスリン分泌制御機能の探索
Project/Area Number |
23591358
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
山口 秀樹 宮崎大学, 医学部, 講師 (10305097)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
十枝内 厚次 宮崎大学, 医学部, 講師 (80381101)
松尾 崇 宮崎大学, 医学部, その他 (10404427)
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Keywords | 生理活性ペプチド / 糖尿病 / インスリン / 膵β細胞 |
Research Abstract |
NeuroEndocrine Regulatory Peptide (NERP)-2は膵ラ氏島に局在し、MIN-6やマウス単離ラ氏島を用いたin vitro実験系でインスリン分泌を促進する新規生理活性ペプチドであることを明らかにした。今回、NERP-2によるインスリン分泌活性の機能解析のため、ラットやマウスへ急性投与した際のインスリンの分泌動態、MIN-6培養細胞株メディウムにNERPを添加した後の細胞内Ca動態を検討した。9週齢のC57BL/6J雄マウスを18時間絶食後、覚醒下で腹腔内にブドウ糖 (1 g/kg)とNERP-2 (500 nmol/kg)、陽性コントロールとしてGLP-1 (4 nmol/kg)を投与し、投与後のインスリンの動態を観察した。また、9週齢のWistar雄ラットを18時間絶食後、ペントバルビタールで麻酔し、留置固定した大腿静脈カニューレ部位からブドウ糖(500 mg/kg)とNERP-2 (30 nmol/kg)またはGLP-1 (10 pmol/kg)を投与し、尾静脈から経時的に採血した。その結果、NERP-2のマウス腹腔内またはラット静脈内投与は、グルコース誘発性インスリン分泌を促進することが明らかとなった。 MIN6細胞株を37℃で灌流し、灌流液中のブドウ糖 (2.8 mM, 22 mM)、NERP-2、NERP-2-Gly (ともに1 μM)、GLP-1 (10 nM)を添加し、MIN6細胞内カルシウム流入をIMACSを用いて解析した。その結果、高グルコース条件下でのMIN6細胞株へのNERP-2添加は、細胞内Ca濃度を上昇させた。低グルコース条件下や高グルコース下でのNERP-2-Gly添加では、Ca influxを認めなかった。以上の成績から、NERP-2はインスリン分泌を制御する新たな生理活性ペプチドである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
申請者を含む研究グループは多数の生理活性ペプチドの研究で、(1) ラットおよびマウス個体での行動薬理学的解析技術、(2) 摂食関連ペプチドおよび神経伝達物質の定量技術、(3) ペプチドやその受容体の形態学的解析技術、(4) 細胞培養技術と情報伝達機構の解析技術を確立しており、その実績を基に順調に研究を遂行している。実験支援生物資源分野(動物実験施設)、RI部門、組織培養部門など研究実施のために使用する研究施設・設備など現在の研究環境に問題はない。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)NERP受容体の探索 NERP受容体を探索するためNERP投与で内在性ペプチド分泌が制御される培養細胞株を用いる。オートラジオグラフィーを基にcDNAライブラリーを作製し、発現クローニング法を用いてNERP受容体のクローニングを行う。NERP受容体同定後にNERP受容体強発現細胞株を作製し、NERPペプチド変異体と受容体との薬理学的解析を行うとともに、細胞内シグナル伝達機構についても解析を進める。ペプチドのレセプターとして重要なG蛋白共役型受容体(GPCR)のライブラリーに新規摂食関連ペプチドを添加し、現有のIMACS細胞内イオン動態画像解析システム(Toshinai K, Yamaguchi H, et al, Endocrinology, 147: 2306-14, 2006)を用いてスクリーニングする。 (2)NERPの膵星状細胞活性化や膵ラ氏島繊維化におよぼす影響 膵星状細胞 (PSC)をラット膵臓から単離し、in vitroで培養する。新規生理活性ペプチドの膵星状細胞活性化への影響を高ブドウ糖の有無、新規ペプチドの有無の条件下で[3H]取り込み法やα-SMA免疫染色法で評価する。ERK1/2のリン酸化を計測し、PSC細胞活性化における新規生理活性ペプチドの細胞内メカニズムを解明する。In vivo実験として、OLETF ratsを新規生理活性ペプチドで治療し、コントロール群と比較検討する。膵β細胞の細胞量や繊維化の比率を、TGF-βやα-SMAの免疫染色で評価し、膵繊維化における新規生理活性ペプチドの意義を検討する。新規生理活性ペプチドの作用機序を解明するために、TGF-β, CTGF, fibronectin やα-SMAの発現量をmRNAおよびと蛋白質レベルで検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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[Journal Article] Neuroendocrine regulatory peptide-2 stimulates glucose-induced insulin secretion in vivo and in vitro2012
Author(s)
Hideki Yamaguchi, Abu Saleh MD Moin, Marie Rhee ,Ji-Wom Kim, Koji Toshinai, T.M. Zaved Waise, Farhana Naznin, Takashi Matsuo, Kazuki Sasaki, Naoto Minamino, Kun-Ho Yoon, Masamitsu Nakazato
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Journal Title
Biochem Biophys Res Commun,
Volume: 428
Pages: 512-517
DOI
Peer Reviewed
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