2011 Fiscal Year Research-status Report
MLL遺伝子変異体による骨髄異形成症候群モデルマウスの作製と分子基盤の理解
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23591367
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
指田 吾郎 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70349447)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | MLL-PTD / RUNX1 / 造血幹細胞 / 骨髄異形成症候群 / 急性骨髄性白血病 |
Research Abstract |
我々はMLLが転写因子RUNX1点突然変異体蛋白の発現を制御するという研究成果を得ている。また、骨髄異形成症候群 (MDS)から急性骨髄性白血病(AML)に移行した症例(MDS/AML) において、MLL部分重複変異体(MLL-PTD)がRUNX1の点突然変異と正の相関にある (Tang JL et al. Blood 2009, Dicker F at al. Leukemia 2010)。以上の知見に基づき本研究は、Mll-PTDノックインマウス(Mll-PTD KI)をRunx1ヘテロマウスRunx1+/-と交配することにより、MDSからAMLへと病態が進展する疾患モデルマウスを作製し、その解析を通して、MLL変異体とRUNX1変異体がMDSからAMLへの病態進展にどのように協調的に関与するのかを理解する。 Mll-PTD KIあるいはRunx1+/-単独の遺伝子異常ではいずれもAMLを発症するのに十分ではない (Dorrance AM et al. JCI 2006, Sun W et al. Blood 2004)。現在までの申請者による解析では、Mll-PTD KI マウスを用いた造血機能解析によって、造血幹細胞・多能性前駆細胞 (lineage-Sca-1+c-kit+:LSK)の増大に加えて、骨髄球系前駆細胞における増殖活性能の亢進を認めている。一方、Mll-PTD KI/Runx1+/-細胞では、野生型に比較して造血幹細胞・多能性前駆細胞ではなく前駆細胞 (lineage-c-kit+)にアポトーシスの亢進を認めた。またアポトーシス関連遺伝子の発現異常を認めており、現在、表現系解析の確定に加え、原因遺伝子の機能解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的はMll-PTD KIマウスとRunx1+/-マウスを交配し、MDSからAMLへと病態が進展するコンパウンドマウスを作製し、その解析を通して、MLL変異体とRUNX1変異体がMDSからAMLへの病態進展にどのように協調的に関与するのかを理解することである。現在、Mll-PTD KIマウスの詳細な表現形解析が終了しつつある。さらにコンパウンドマウスの造血細胞で、ヒトMDSに特異的な表現形が観察され、その機能解析を進めており、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
Mll-PTD KI/Runx1+/-マウス造血細胞では、野生型に比較して造血幹細胞・多能性前駆細胞ではなく前駆細胞にアポトーシスの亢進が認められている。この表現形はヒト骨髄異形成症候群で観察される分化した細胞の形態異常や末梢血液細胞の減少にも合致している。今後Mll-PTD KI単独異常における発現様式とも比較することで、Mll-PTD KI /Runx1+/-前駆細胞を用いてマイクロアレイ発現解析を行い、発現に変化のある遺伝子群を抽出し、その原因遺伝子を同定していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
マウスの表現形解析をさらに進めることに加えて、マイクロアレイや定量的PCRなどを用いた発現解析をマウスや細胞を用いて行う。このための試薬、部品等の購入にあてる。
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Research Products
(1 results)