2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23591398
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
鈴木 紳介 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (20437974)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 成人T細胞白血病 / 癌特異的増殖型アデノウイルス / 白血病幹細胞 |
Research Abstract |
癌特異的増殖型アデノウイルス(conditionally replicating adenovirus:CRA)による成人T細胞白血病(adult T-cell leukemia:ATL)治療の基礎的確立を目的とする。(目標)非増殖型アデノウイルスベクターを用いてヒトT細胞白血病ウイルスI型(HTLV-1)感染T細胞株の導入・発現条件を明らかにし、サービビンプロモーター依存性CRA(Surv.CRA)の殺細胞効果を明らかにする。(方法)我々の研究室で樹立した、2種類のATL細胞株(S1T,Su9T01)、3種類のHTLV-1感染T細胞株(Oh13T,K3T,F6T)とMT-2 6種類の細胞株を用いた。正常ヒト単核球をコントロールとした。 E1領域欠損・非増殖型・EGFP発現・アデノウイルスベクター(Ad. ΔE1) とE1領域欠損・非増殖型・Survivinプロモーター依存性LacZ発現・アデノウイルスベクター(Ad.Surv-LacZ) を使用して、アデノウイルス遺伝子導入効率とSurvivinプロモーター活性を解析した。アデノウイルス感染に重要なcoxsackie and adenovirus receptor (CAR)の発現をフローサイトメーターで、Surv.CRAのATL細胞株特異的増殖と殺細胞効果をMTT法で解析した。(結果)6細胞株すべてに、強いSurvivinプロモーター活性と良好な導入効率を認めた。すべての細胞株でCARの発現を認めた。一方、正常ヒトリンパ球ではCARの発現を認めなかった。すべての細胞株で、Surv.CRAの効率的な増殖を認め、5細胞株に殺細胞効果を認めた。正常ヒトリンパ球では、Surv.CRAの増殖は認めず、殺細胞効果も認めなかった。Surv.CRAのATL治療の可能性を示す重要な結果であり、成果を第73回日本血液学会総会で口演報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
細胞株を使用した、解析は順調に進んでいるが、患者検体の収集が滞っており、患者検体を使用した解析が遅れている。今後は、急性型・慢性型・くすぶり型ATL患者検体を同意書に基づいて収集し、非増殖型アデノウイルスベクターの至適導入・発現条件を明らかにするとともに、Surv.CRAを用いて殺細胞効果を明らかにする。
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Strategy for Future Research Activity |
私たちは高度免疫不全マウス(NOD/Scid/Jak3欠損マウス:NOJマウス)に患者由来ATL細胞を移植することで、マウス体内でヒトのATLの構築が可能であるかどうか検討中である。ATL移植NOJマウスを用いてSurv.CRAの抗腫瘍効果を検討する。またATL幹細胞を標的にしたCRAの開発をすすめる。HTLV-1はATLの原因ウイルスであるが、HTLV-1の発癌機構は十分に解明されていない。また高度免疫不全マウスに白血病を再構築可能で、通常の化学療法と放射線治療に抵抗性を示すATL幹細胞の特徴も解明は不十分である。近年、HTLV-1のマイナス鎖にコードされている、HTLV-1 bZIP factor(HBZ)遺伝子はすべてのATL細胞に発現していることが判明している。HBZ遺伝子はATL幹細胞にも発現していることが予想され、HTLV-1非感染細胞である正常リンパ球には発現していないため、CRAの格好の標的になりうる。すでに、HTLV-1の3'long terminal repeat(LTR)領域に存在する300塩基対のHBZプロモーター領域も同定されており、幹細胞を標的にしたHBZプロモーター依存性CRA(HBZ.CRA)の開発をすすめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1)細胞培養試薬:RPMI1640(100千円/20L)、Penicillin/Streptomycin (50千円/500ml)、Fetal Bovine Serum(100千円/4L)を購入する。2)PCR 用試薬: Total RNA extraction kit (50千円/200test)、taqman PCR probe kit(150千円/6 kit)、HBZ発現解明のため購入する。 3)遺伝子発現効率検査用試薬:Fluoreporter LacZ FCM Kits(100千円/100test)を購入する。4)動物(マウス)代:ATL移植可能なNOJマウス(250千円/n=15)を財団法人実験動物中央研究所(神奈川県川崎市)から購入する。動物飼育経費:200千円5)国内旅費:研究成果を第74回日本血液学会総会で報告する。国外旅費:研究成果を55thAmerican Society of Haematology Annual Meetingで報告する。
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Research Products
(1 results)