2012 Fiscal Year Research-status Report
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23591398
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
鈴木 紳介 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (20437974)
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Keywords | 成人T細胞白血病 / 癌特異的増殖型アデノウイ ルス / 白血病幹細胞 |
Research Abstract |
癌特異的増殖型アデノウイルス(conditionally replicating adenovirus:CRA)による成人T細胞白血病(adult T-cell leukemia:ATL)治療の基礎的確立を目的とする。 H23年度は、ヒトT細胞白血病ウイルスI型(HTLV-1)感染T細胞株を用いて、サービビンプロモーター依存性CRA(Surv.CRA)の殺細胞効果を明らかにし、成果を第73回日本血液学会総会で口演報告した。当該年度は更に、ATL幹細胞を特異的に攻撃しうる新たなCRA作成を進めた。慢性持続感染が原因となる悪性腫瘍では、ウィルスを標的とした治療法の開発が有効である。近年すべてのHTLV-1感染細胞で、組み込まれているプロウィルスの3’側long terminal repeat(LTR)は保存されており、マイナス鎖にコードされているHTLV-1 bZIP factor(HBZ)遺伝子が転写されていることが判明した(Satou Y et al, PLos Pathogens 2011)。HBZを標的にした治療は、従来の化学療法にはなかった発想である。腫瘍幹細胞を標的にするためには、急性型・リンパ腫型などの高悪性度ATLのみならず、くすぶり型・慢性型などの低悪性度ATLからHBZ遺伝子の転写がおこっている必要がある。我々は、1例のくすぶり型ATL患者で、HBZ遺伝子の mRNA 発現量を 無症候性キャリアーと比較した。発現量の比率は、 無症候性キャリアー:くすぶり型ATL=1:13であった。3'LTRに存在する300塩基対のHBZプロモーター領域を人工合成遺伝子作成し、プラスミドベクターにクローニングした。アミノ酸変異を入れた変異体プロモーターも作成し、陰性コントロールとする。幹細胞を標的にしたHBZプロモーター依存性CRA(HBZ.CRA)の開発をすすめる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
サービビンプロモーター依存性CRA (Surv.CRA)を使用した細胞株での解析では、実験仮説に比較的沿った結果が得られている。患者検体の収集がやや滞っており、患者検体を使用した解析が遅れている。今後は、ATL患者検体を同意書に基づいて収集し、非増殖型アデノウイルスベクターの至適導入・発現条 件を明らかにするとともに、Surv.CRAだけでなく新たに作成するHBZプロモーター依存性CRA (HBZ.CRA) を用いて殺細胞効果を明らかにする。
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Strategy for Future Research Activity |
鹿児島大学大学院医歯学総合研究科先進治療科学専攻 運動機能修復学講座遺伝子治療・再生医学分野の小戝健一郎教授にHBZプロモーター依存性CRA (HBZ.CRA) の作成を依頼する。また私たちの教室では、高度免疫不全マウス(NOD/Scid/Jak3欠損マウス:NOJマウス)に患者由来ATL細胞を移植することで、マウス体内でヒトのATLの 構築が可能であることを確認している。ATL移植NOJマウスを用いてCRAの抗腫瘍効果を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1) real time PCR試薬 350千円, 細胞培養試薬 175千円, 遺伝子発現効率検査用試薬 150千円, アデノウイルス受容体発現検査用試薬 75千円, 殺細胞効果検出用試薬 50千円, アポト-シス検出用試薬 200千円 2) 人工合成遺伝子作成 244千円, 変異導入遺伝子作成 200千円 3) 旅費(国内旅費)第75回血液学会総会 札幌 100千円, 旅費(外国旅費)第55回アメリカ血液学会 ニューオリンズ 250千円, 旅費(外国旅費)第49回アメリカ臨床腫瘍学会 シカゴ 250千円 4) その他 論文校正 100千円
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