2011 Fiscal Year Research-status Report
RUNX1失活型白血病モデルマウスにおける骨髄微小環境の解析とニッチ因子の同定
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23591406
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
中村 由香 獨協医科大学, 医学部, 講師 (80364595)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 白血病幹細胞 / 骨髄微小環境 / ニッチ因子 |
Research Abstract |
近年、白血病を構成する細胞の中にも正常造血システムと同様にがん幹細胞を頂点とする階層性が存在することが証明された。また、幹細胞研究から、幹細胞の性質は、幹細胞自律的なものだけでなく、幹細胞と隣接するニッチ(微小環境)との相互作用により制御されていることが明らかとなっている。私は、白血病幹細胞の維持機構をニッチに着目して個体レベルで解析するため、白血病モデルマウスを作製した。レトロウイルスを用いてRUNX1/EVI1を遺伝子導入したマウス骨髄細胞を、同系マウスに骨髄移植した。遺伝子導入した骨髄細胞の生着は認めているものの、白血病発症には5~13ヶ月程度かかるとのことで、現在白血病発症を経過観察している。骨髄移植後8ヶ月を経過したマウスにおいては、白血病細胞の増多は認めないものの、白血球減少、貧血、脾腫を認めている。これらのことから、無効造血、髄外造血が示唆され、このモデルマウスにおいては、白血病発症の経時的変化を見ている可能性も考えられた。また、別のモデルマウスとして、レンチウイルスでmiR-9をマウス骨髄細胞に導入し、骨髄移植したモデルマウスを作製している。miR-9はRUNX1 mRNAの3’UTRにseed sequenceを有するmicroRNAであり、急性骨髄性白血病および骨髄異形成症候群の患者検体を用いて検討したところ、1~2割の症例でmiR-9の発現が異常に亢進していることが明らかとなり、miR-9は腫瘍性幹細胞の維持に役割がある可能性が示唆された。そこで、このモデルマウスにおいて造血幹細胞の維持亢進が観察された場合には、同時にニッチの解析を行ない、幹細胞維持機構に関与するニッチの同定を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウス骨髄移植の実験系を確立するのに難渋し、時間がかかってしまった。また、骨髄移植の系が確立できたが、モデルマウスが白血病発症するまでに数ヶ月の時間を要するとのことで、まだ充分なマウスの解析ができていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
精力的にモデルマウスの作製にあたり、解析する。白血病を発症した骨髄細胞を2次移植すると、さらに短期間で再度白血病を発症することが知られているので、白血病を発症した際は、2次移植も行い、さらなるモデルマウスの確保に努める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
細胞培養用試薬、遺伝子解析関連試薬、抗体、プラスチック器具等、主として物品費の使用を予定している。
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