2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23591408
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
高久 智生 順天堂大学, 医学部, 准教授 (20408256)
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Keywords | 共焦点顕微鏡 / 骨髄内神経ニッチ / サーカディアンリズム / 造血幹細胞 / 骨髄3次元構造 |
Research Abstract |
骨髄における造血は、血流中の可溶性ファクターおよび自律神経によって厳格に制御されており、その生理学的作用過程は決して一様ではなく、むしろ日内変動により非常に多彩である。サーカディアンリズとは24時間周期で変動する生理現象を示しており、生物は生態を維持する為に必要とされる生理学的ニーズをあらかじめ予測し、かつその生理機能を調節している。近年、造血幹細胞の遊走、増殖、分化において、生態学的な体内時計が関与している事が複数報告されている。本研究では骨髄内の神経組織の走行、および生態内のサーカディアンリズムを司る交感神経に注目し、β2およびβ3アドレナリン受容体を介した造血幹細胞の制御機構を、共焦点顕微鏡およびその他の手法を用いて解析する事を目的としている。造血は神経組織、特に交感神経による影響を受けていると考えられること、現時点では骨髄内の神経組織分布に関する報告はない事から、第1段階として、中枢および末梢神経組織に豊富なNeuron specific beta3 Tublinに対する抗体を購入し、マウス骨髄内の神経組織の可視化を行った。免疫染色のための条件設定に時間がかかるも、最終的には神経組織と思われる構造物の染色に成功した。しかし、描出された神経組織の密度は血管に比して予測よりも極度に少なく、一部は血管に平行して走行していると考えられるものの、神経ネットワーク網を形成するには十分な量では無いと考えられた。また、β2およびβ3アドレナリンを介した造血細胞/血液細胞への交感神経支配の影響を検証するため、それぞれのレセプターに対する抗体を購入しフローサイトメトリーを用いて検証の結果、ほぼ全ての血球細胞が定常状態ではアドレナリンに対するレセプターを発現しておらず、免疫染色でも同様の結果であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各種血球細胞におけるβ2およびβ3アドレナリン受容体の発現検討目的でフローサイトメトリーをもちいた検証を行い、その結果多くの血球細胞でβ2およびβ3アドレナリン受容体は発現が認められなかった事から、骨髄での神経組織の密度は低いと考えられること。また、幹細胞および各種前駆細胞分画の血球細胞はサーカディアンリズムの影響を受けると考えられるものの、定常状態においては血球細胞はβ2/β3アドレナリンのいずれのレセプターを発現していないことから、サーカディアンリズムによるアドレナリンの通じた調節に関しては、β2/β3以外のアドレナリンの関与の可能性が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はアドレナリンを介したサーカディアンリズムの影響を観察する目的で、β刺激薬の投与による交感神経刺激を行い、刺激後の幹細胞分画および各種前駆細胞分画の血球におけるβ2およびβ3アドレナリン受容体発現の確認の行い、これらの細胞での発現が認められた場合、その影響下にある細胞の同定およびサーカディアンリズムの変化における動態および骨髄内での位置の確認を行う予定である。さらには、サーカディアンリズムによる数的な変化のみならず、前駆細胞分画の細胞数も検証する事により、血球細胞の分化もしくは成熟に関しても検証を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
使用している抗体量が予定より少ない回数で、明らかな結果が得られた事。購入を計画していたマウスに関しても、アドレナリンとの関連性が低いと考えられたことから少ないマウスでの検証が可能であった事、および実験結果の確認目的の再実験を今年度計画しているために次年度使用額が生じた。 引き続きマウスおよび抗体/薬剤の購入を行う予定である。
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