2011 Fiscal Year Research-status Report
同種造血細胞移植後閉塞性細気管支炎の早期診断を目指したモニタリング法の開発
Project/Area Number |
23591417
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
藤井 伸治 岡山大学, 大学病院, 講師 (60362977)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷本 安 岡山大学, 大学病院, 講師 (60284098)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 閉塞性細気管支炎 |
Research Abstract |
造血細胞移植後の閉塞性細気管支炎症候群(BOS)は致死的な合併症であり著しくQOLを害するは未解決の大きな問題である。BOSは症状出現時には既に病態が完成され非可逆性となっていることが多く、ステロイドなど免疫抑制療法による治療効果は非常に乏しい。本研究の目的は、治療効果の期待できる可逆性の段階でBOS発症を捉え、早期の治療介入を可能にするモニタリング法の確立であり、平成23年度の研究計画では、1) 呼気濃縮液を用いたBOS関連液性因子のモニタリング、および2) BOS関連候補遺伝子に対する液性免疫反応の2つを予定した。さらに、3) 造血細胞移植後の閉塞性細気管支炎症候群発症の臨床像の把握を加えた。呼気濃縮液を用いたBOS関連液性因子のモニタリングに関して、本研究は同種移植患者から採取した血液および呼気濃縮液を使用する前向き研究であるため、まず研究計画書を作成し岡山大学病院倫理委員会にて審査を受け、承認された。承認後、患者からの同意取得および検体採取を開始し、平成24年3月末の段階で計10名の同種移植患者からの検体採取を行った。Cytometric Bead Arrayによるサイトカイン、ケモカイン、Growth Factor測定に関しては、Bio-plex Human Cytokine Assay (BioRad)を購入し、測定を行う予定である。BOS関連候補遺伝子に対する液性免疫反応に関しては、平成23年度は実行できず、平成24年度以降に行う予定とした。造血細胞移植後の閉塞性細気管支炎症候群発症の臨床像の把握を目的として、岡山BMTグループ(岡山大学病院、国立病院機構岡山医療センター、愛媛県立中央病院)における計693例の移植において、19例(2.7%)のBOS発症があることを見出し、発症様式や臨床経過を含め、第73回日本血液学会学術集会で口演を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「呼気濃縮液を用いたBOS関連液性因子のモニタリング」については、概ね予定どおり倫理委員会での承認、および検体集積の開始が達成できた。平成23年度中にBio-plex Human Cytokine Assayを用いた27種類の液性因子のpreliminaryデータを確認することが理想であったが、平成23年度後半の同種移植数が多くなかったため、アッセイは平成24年度以降の課題とした。「BOS関連候補遺伝子に対する液性免疫反応」に関しては、当院でフォロー中のBOS患者より血清を採取し、市販されているtype V collagen(Col V;BD Bioscience)、recombinant K-α1 tublin (Santa Cruz Biotechnology)、P2RX7 recombinant protein (Novus Biologicals)を用いて、ELISA法にてこれらの蛋白の対する抗体の有無を検討する予定であったが、検体集積が滞り実行できなかった。「造血細胞移植後の閉塞性細気管支炎症候群発症の臨床像の把握」については、今後の検体集積にも役立てるべく、患者数の把握も可能になることから、岡山BMTグループ3施設の後ろ向き研究として行った。本研究も倫理委員会承認の上で行い、現在解析を終了し論文投稿準備中である
|
Strategy for Future Research Activity |
呼気濃縮液を用いたBOS関連液性因子のモニタリングについては、臨床検体の保存を引き続き行い、平成23年度末に計10名であったエントリー症例を増やし平成24年度末までに計40名を目標とする。症例数が20名となった段階でBio-plex Human Cytokine Assayを用いたアッセイを行い、大まかな傾向を把握する。その結果により本研究の意義を再確認した後、検体採取を岡山BMTグループの他2施設に依頼し、さらに多数例での検討を目指す。BOS関連候補遺伝子に対する液性免疫反応の検討については、BOS発症例からの血清保存を早急に行い、また目的とするBOS関連候補遺伝子に対する液性免疫反応に使用する抗体の購入および、アッセイの標準化のための基礎実験を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度は検体集積に時間を費やしたため、当初購入予定だった物品・試薬の購入に至らず繰り越しを行った。平成24年度は以下の物品を購入し、研究を推進する。Bio-plex Human Cytokine Assay (Bio-Plex cytokine 27-plex panel)呼気凝縮液の採取装置アールチューブ購入各種抗体:type V collagen(Col V;BD Bioscience)、recombinant K-α1 tublin (Santa Cruz Biotechnology)、P2RX7 recombinant protein (Novus Biologicals)
|