2011 Fiscal Year Research-status Report
同種造血細胞移植後ヒトヘルペスウイルス6脳炎の病態解析と発症予測
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23591422
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
緒方 正男 大分大学, 医学部, 講師 (10332892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 隆子 大分大学, 医学部, 研究補佐員 (90420645)
幸野 和洋 大分大学, 医学部, 助教 (80420644)
門田 淳一 大分大学, 医学部, 教授 (50233838)
高野 久仁子 大分大学, 医学部, 医員 (20617427)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | HHV-6 / HHV-6脳炎 / サイトカイン / interleukin-6 |
Research Abstract |
HHV-6脳炎は同種造血細胞移植後のHHV-6再活性化に伴う予後不良の合併症である。HHV-6の再活性化は約半数の移植症例に観察されるにも関わらず、脳炎を発症するのはその一部である。HHV-6脳炎は生着前免疫反応や生着症候群が発症に先行することが多いことより、脳炎発症には再活性化のレベルのみでなく、特有の炎症状態が関連している可能性がある。移植早期の炎症状態と脳炎発症との関連に検討を行っている。現在までHHV-6脳炎発症例6例を含む移植症例100例について週1回 day70まで採取された血漿を用いて、HHV-6 DNA及び17種類のサイトカイン、ケモカインの動態について測定した。移植後の血漿HHV-6 DNA陽性化の累積頻度は移植後day 70で62.7%であった。HHV-6脳炎はすべて血漿HHV-6 DNAのピークに一致して発症していた。HHV-6脳炎発症例 (n=6) におけるHHV-6 DNA値の中央値は104,397 copies/mlで、非発症例は382 copies/mlであった (p=0.0004)。サイトカインの動態解析では脳炎発症例では非発症例に比較してIL-6、IL-8、IL-10、IL-13、MCP-1、MIP1bが有意に高値であり、特にIL-6は脳炎発症例で著明高値が示された (中央値, 1215 pg/ml vs 70.1 pg/ml, P=0.0007)。動態解析では、HHV-6脳炎発症例においては、脳炎発症の1週間前にIL-6の急激な上昇がみられ、引き続いてHHV-6 DNAが上昇し、脳炎を来すという共通した経過が確認された。HHV-6脳炎発症はHHV-6再活性化のレベルと、IL-6高値が関連すると考えられる。脳炎発症前のIL-6の上昇は、特有の炎症状態が脳炎発症に関連する可能性を示す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在まで移植症例100例(うち脳炎発症例6例)について移植後早期(1-4週目まで)のサイトカイン動態を既に解析している。脳炎を来した症例における特異なサイトカイン動態については明らかとなりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後さらに症例を重ねる。厚生労働省班研究の前向き試験で集められた移植症例230例(うち脳炎発症6例)の週二回採取血漿が当方に保存されており、これらについて検討を行う。脳炎発症に先行する(脳炎を予測する)サイトカイン動態、その危険域、その背景などを明らかとしたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
移植症例の血漿について、BioPlexを用いたサイトカイン、ケモカイン測定、及び検体送付のための通信費(宅配運送)に主に用いられる。
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