2011 Fiscal Year Research-status Report
β3インテグリン機能発現におけるILKの役割解明と関連分子の探索・同定
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23591430
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
本田 繁則 独立行政法人国立循環器病研究センター, 分子病態部, 室長 (00303959)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | β3インテグリン / ILK |
Research Abstract |
β3インテグリンはαIIbβ3およびαVβ3から構成されるインテグリンファミリーである。β3インテグリンは血小板、血管構成細胞、腫瘍細胞などに発現する接着受容体であり、血栓症や血管病の発症・進展および腫瘍の浸潤・転移において重要な役割を果たしている。しかしながら、その機能発現制御機構の詳細は依然として明らかではない。私達は発現クローニングの手法を用いてintegrin-linked kinase(ILK)がβ3インテグリンの活性化に関わる分子の1つとして同定できた。本研究では、ILKのインテグリン機能発現に関わるメカニズムを明らかにするとともに、ILKが関連する細胞内シグナル分子および新たなβ3インテグリン機能発現分子の探索・同定を目指している。 これまで、恒常的に活性化したインテグリンを発現するCHO細胞(親株)においてILKはPINCHおよびparvinと複合体を形成している事を確認できた。そこで、ILK複合体形成蛋白(PINCH、parvin)およびインテグリン活性化に必須の蛋白(talin、kindlin-2)のノックダウンを行なった。PINCHとparvinのノックダウンはtalinおよびkindlin-2のノックダウンと同様にインテグリンの活性化を抑制した。また、PINCHあるいはparvinノックダウン細胞ではいずれもILKノックダウン細胞と同様にPINCH 、parvinおよびILKの発現が低下していた。ILK-PINCH-parvinの複合体形成がそれぞれの蛋白の安定化に関わっていることが示唆された。また、その他のILK結合蛋白に関してもノックダウン実験を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
親株細胞を用いたILK結合蛋白PINCHおよびparvinのノックダウン実験はおおむね実施できた。その他のILK結合蛋白に関してのノックダウン実験も行なっている。ノックダウン評価の指標として蛋白発現を確認しているが、標的蛋白質を良好に認識する抗体の入手に時間を要する場合があった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた成績を基にしてILK、PINCH、parvinのインテグリン機能発現への影響をさらに解析する。CHO細胞に発現させた野生型のインテグリンαIIbβ3は非活性の状態になっているので活性化因子を導入してインテグリンの活性化を誘導する。この過程におけるILK、PINCH、parvinの役割を評価する。また、非活性の状態のαIIbβ3にILK、PINCH、parvinなどの過剰発現が与える影響について解析する。ILK結合蛋白との相互作用を欠如するミュータントILKを作製し、インテグリン機能発現への影響を評価する。前年度に引き続いてILK関連蛋白質のノックダウン実験を実施する。また、新たなインテグリン機能発現分子の探索・同定実験を予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記研究計画を実施する上で必要な消耗品(抗体、遺伝子導入試薬、遺伝子ノックダウン試薬、細胞培養試薬など)、学会参加に関わる費用、謝金、論文投稿に関連する費用などで使用を予定している。また、当該研究費は次年度の探索・同定実験などへの使用を計画している。
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Research Products
(2 results)