2012 Fiscal Year Research-status Report
miRNAによる関節リウマチ滑膜細胞リプログラミングの誘導
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23591440
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山崎 聡士 広島大学, 病院(医), 病院助教 (30367388)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川上 純 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (90325639)
杉山 英二 広島大学, 病院, 教授 (70179167)
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Keywords | 関節リウマチ / miRNA / 分化誘導 / 翻訳制御 / locked nucleic acid / サイトカイン / mRNA崩壊 / 受容体 |
Research Abstract |
関節リウマチの線維芽細胞様滑膜細胞 (Fibroblast-like Synovial cell: FLS) を用いて、TGFβ反応性のmiRNAの発現及びその効果に関する研究を行っているが、下記の研究結果を得ている。 1:当初TGFβにより誘導されるmiRNA候補として4種類のmiRNAを候補としていたが、このうち2つの発現亢進が再度確認された。 2:miRNAの標的となりうるmRNAの探索を2つの方法を組み合わせて行った。まずは、TGFβ刺激によって低下するmRNAをDNA arrayを用いて探索し、さらに我々選択したmiRNAの標的となるものをmiRNA data baseを用いてスクリーニングした。結果として数十個の標的miRNAが候補標的mRNAとして選択されたが、DNA arrayデータをもとに行ったパスウェイ解析により、関節リウマチの病態と関連があると思われる細胞分化、TGFβシグナル、炎症、軟骨骨化、細胞接着に関与する転写産物が候補分子として得られた。このうち一つの遺伝子はTGFβで誘導される2つの候補miRNAの両方のターゲットシークエンスをもち、有望な標的と考えられる。 3:miRNAの細胞への導入の実験では、合成miRNAがリポフェクション方により効率的に細胞内へ導入できる事がノーザンブロットにて確認された。 TGFβによって誘導されるmiRNAとその標的遺伝子の候補選択がほぼ終了した。一方で、mRNAの分解を伴わない翻訳抑制を介した標的分子に関しては現在のところ確実な標的が確認できていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TGFβにより誘導されるmiRNA候補と、これらmiRNAの標的となりうるmRNAの探索を複数の方法で行い、関節リウマチとの関連が予想される候補遺伝子の選択に至った。TGFβ誘導性miRNAとこれらの候補標的遺伝子発現との関連を観察する為の細胞生物学的手技も、合成miRNAがリポフェクション法を確立した事で確立したと言える。一方で、mRNAの分解を伴わない翻訳抑制を介した標的分子に関しては現在のところ確実な標的が確認できていない。さらに、Exiqon社 miRCURY LNA; microRNA Inhibitorsを用いたmiRNA阻害の確認が完了しておらず、これを進める。
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Strategy for Future Research Activity |
1)選択されたmiRNAとその標的分子の挙動解析:選択されたmiRNAの合成RNAをリポフェクション方で導入した滑膜細胞において、標的遺伝子の発現をmRNAレベルおよび蛋白レベルで確認する。この方法として、免疫染色及びウェスタンブロット法、フローサイトメーター、polymerase chain reaction (PCR法)の方法を用いて行う。この解析により滑膜細胞での選択されたmiRNAと標的mRNAの関連を解析する。 2)TGFβにより誘導されるmiRNAの細胞機能に対する効果判定:標的遺伝子の中には既知の機能があるものも選択されており、これらの分子に関しては挙動解析に整合性が見られた場合には機能解析へと展開する。例として、ある酵素が標的遺伝子であるがこれに対応する基質発現および分解を検討できるアッセイを予定している。 3)microRNA 阻害剤による検討:上記研究により得られた実験系に対して、以下の検証を行う。FLSをTGF βで刺激してmiRNAの細胞への導入と同様の結果が得られた場合、microRNA 阻害剤によりTGFβによつ表現系をキャンセルできるか否かの検証を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1)細胞培養:ほぼ全ての実験が細胞生物学的手法を用いており、通常の継代細胞培養に必要な消耗品の購入が必要である。具体的には滑膜細胞維持のためのDulbecco's modified Eagle's medium(DMEM), fetal bovine serum (FBS)、抗生剤、トリプシン、各種細胞培養プレートなどである。miRNAとmiRNA阻害剤とこれを用いる2)2種類のmiRNAを用いた研究を繰り返し行うため、特定のmiRNAとコントロールRNAの購入が必要であり、最も大きな支出になると考えられる。さらにこれらのmiRNAを阻害するmiRNA阻害剤の購入をおこなう。 3)標的遺伝子産物の検出系:標的mRNAが実際に選択されたmiRNAによって制御されているかをタンパク質レベルで検出する必要があるため、標的分子の抗体の購入および、ウェスタンブロット法、フローサイトメーター、免疫染色に必要な消耗品の購入を行う。具体的にはウェスタンブロット法、フローサイトメーター、免疫染色用の一次抗体、PCR用のプライマー、細胞固定液、洗浄液、蛍光色素付2次抗体、及びこれらのアッセイに必要な消耗品である。 4)研究成果を国内外の学会で発表する為の旅費が必要である。
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[Journal Article] The diagnostic utility of anti-melanoma differentiation-associated gene 5 antibody testing for predicting the prognosis of Japanese patients with DM.2012
Author(s)
Koga T, Fujikawa K, Horai Y, Okada A, Kawashiri SY, Iwamoto N, Suzuki T, Nakashima Y, Tamai M, Arima K, Yamasaki S, et al.
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Journal Title
Rheumatology (Oxford)
Volume: 51
Pages: 1278-84
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] High serum matrix metalloproteinase 3 is characteristic of patients with paraneoplastic remitting seronegative symmetrical synovitis with pitting edema syndrome.2012
Author(s)
Origuchi T, Arima K, Kawashiri SY, Tamai M, Yamasaki S, Nakamura H, Tsukada T, Aramaki T, Furuyama M, Miyashita T, Kawabe Y, Iwanaga N, Terada K, Ueki Y, Fukuda T, Eguchi K, Kawakami A.
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Journal Title
Mod Rheumatol.
Volume: 22
Pages: 584-8
DOI
Peer Reviewed
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