2013 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子IRF4は自己免疫疾患における肉芽腫の形成に関与する
Project/Area Number |
23591442
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
関根 英治 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (40363759)
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Keywords | 国際情報交換 / アメリカ / IRF-4 / IRF-1 / 肉芽腫 / 自己免疫 |
Research Abstract |
平成24年度までの研究の結果をふまえ、平成25年度は、転写因子IRF4欠損MRL+/+マウスを作製し、脾Th1,Th2,Th17細胞数や肉芽腫形成の有無等の病理学的表現型を詳細に解析した。その結果、IRF4欠損MRL+/+マウスではIRF4欠損MRL/lprマウスと同様に、脾臓およびリンパ節でのIFN-γ産生性Th1細胞の増加とともに、脾臓、肝、および肺肉芽腫の形成が確認されたが、非自己免疫のC57BL/6マウスではIRF4欠損でも肉芽腫の形成は観察されなかった。すなわち、当該肉芽腫の形成はlpr遺伝子に依存せず、MRL系の遺伝的背景において形成されることが判明し、その形成にはIFN-γ産生性Th1細胞(Th細胞の極性の変化)が関与することが強く示唆された。 さらにTh細胞の極性の変化と病態との関与を明らかにするために、Th1細胞の形成に重要であることが知られている転写因子IRF1を欠損したMRL/lprマウスを作製し、その病態を詳細に解析した。その結果、IRF1欠損MRL/lprマウスでは脾およびリンパ節にIL-4産生性Th2細胞が増加し、IRF4欠損MRL/lprマウスとは異なる異物型多核巨細胞を伴う肺肉芽腫が観察され、腎間質に多数のIL-4産生性Th2細胞と抗酸球の浸潤を伴う尿細管間質性腎炎が認められた。なお、IRF4欠損MRL/lprマウスで観察された脾肉芽腫や細胞増殖性糸球体腎炎はIRF1欠損MRL/lprマウスでは観察されなかった。 また、IRF4欠損MRL/lprマウスでの脾臓CD19陽性B細胞の消失現象はIRF4欠損MRL+/+マウスでも観察され、IRF4とIFN-γ二重欠損のMRL/lprマウス、またはIRF4とIFN-γ受容体二重欠損のMRL/lprマウスではB細胞の消失現象が改善されたことから、IFN-γがB細胞の維持機構に関与することが判明した。 以上の結果、自己免疫モデルマウスにおいて、IRF4とIRF1はTh極性を変化させることによって肉芽腫の形成をはじめとする様々な病態形成への役割を担うことが示され、自己免疫疾患における肉芽腫形成の理解にあたらな一面を加えた。
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