2011 Fiscal Year Research-status Report
ベーチェット病をモデルとしたHO-1による自己炎症・自己免疫の制御
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23591443
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
岳野 光洋 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (50236494)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉見 竜介 横浜市立大学, 医学部, 助教 (70585265)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | HO-1 / ベーチェット病 / 自己免疫 / 自己炎症 / 腫瘍壊死因子 |
Research Abstract |
2010年にGWASによりHLA-B51、HLA-A26に加えて、IL10、IL23R-IL12RB2がベーチェット病の疾患感受性遺伝子であることを見出した。今年度はこれらの疾患感受性遺伝子と症状、病型、インフリキシマブに対する治療反応性などの臨床像との関連を検討した結果、このなかでベーチェット病感受性IL-10アレルが眼症状、皮膚粘膜症状の出現と関連することが明らかになった。疾患感受性IL10アレルはIL-10のlow producerを規定している。IL-10はHO-1発現誘導能を有し、遺伝素因に規定されるIL-10の産生不全が私たちは先に示した活動期患者末梢血単核球におけるHO-1の発現低下に寄与し、ベーチェット病の特徴的な主症状である眼症状、皮膚粘膜症状の発現につながっている可能性がある。また、ベーチェット病の臨床的検討も進め、患者の症状の経時的出現様式(Medicine, 2011)、神経型( Mod Rheum, 2011)、血管型の特徴(Clin Exp Immunol, 2011)などを論文として発表したほか、臨床的にはインフリキシマブの効果減弱が同薬剤の血中濃度の低下と関連していることが明らかになった。HO-1に関連する基礎的な関しても、レプレッサーであるBach1 欠損マウスではHO-1を過剰発現し、HO-1依存性および非依存性のメカニズムで破骨細胞分化が抑制されることを見出した(Arthritis Rheum, 2011)。この知見は破骨細胞分化過程の分子メカニズムの一部を解明しただけでなく、HO-1発現誘導手段としてBach1が標的分子となりうることを示したもので、今後、そのHO-1の発現不全を認めるベーチェット病の病態修復に応用できる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究はHO-1の発現不全がベーチェット病の病態に寄与しており、その是正により疾患の自己免疫的および自己炎症的側面の双方が制御され、治療手段となりうるのではないか、という仮説に基づいている。その観点から、GWASで同定されたベーチェット病疾患感受性遺伝子の中ではHO-1発現誘導能を有するIL-10にもっとも着目していたので、ベーチェット病感受性IL-10アレルと眼症状、皮膚粘膜症状などの主症状との関連は、本研究の方向性が間違っていないことを示すものである。 また、HO-1レプレッサーのBach1 欠損マウスを用いた解析は破骨細胞分化に関するもので、その解析自体にも大きな意義があったが、HO-1発現誘導手段としてBach1が標的分子となりうることを示した点は、本研究の最終目標であるベーチェット病患者のHO-1の発現不全の是正による病態修復に応用できる可能性がある。 臨床的研究では、インフリキシマブの効果減弱が同薬剤の血中濃度の低下という薬物動態学的な問題であることがあきらかになり、臨床的にはその救済方法の確立が急務であることが確認された。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究はHO-1の発現不全がベーチェット病の病態に寄与しており、その是正により疾患の自己免疫的および自己炎症的側面の双方が制御され、治療手段となりうるのではないか、という仮説に基づいている。その観点から、GWASで同定されたベーチェット病疾患感受性遺伝子の中ではHO-1発現誘導能を有するIL-10にもっとも着目していたので、ベーチェット病感受性IL-10アレルと眼症状、皮膚粘膜症状などの主症状との関連は、本研究の方向性が間違っていないことを示すものである。 また、HO-1レプレッサーのBach1 欠損マウスを用いた解析は破骨細胞分化に関するもので、その解析自体にも大きな意義があったが、HO-1発現誘導手段としてBach1が標的分子となりうることを示した点は、本研究の最終目標であるベーチェット病患者のHO-1の発現不全の是正による病態修復に応用できる可能性がある。 臨床的研究では、インフリキシマブの効果減弱が同薬剤の血中濃度の低下という薬物動態学的な問題であることがあきらかになり、臨床的にはその救済方法の確立が急務であることが確認された。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
HO-1, IL-10の遺伝子アレル多型解析などの遺伝子工学試薬、細胞培養、ELISAや免疫ブロティング法の抗体試薬などに用いる。一部はインフリキシマブ治療中のベーチェット病患者の薬剤血中濃度および抗インフリキシマブ抗体の測定、研究成果の論文作成の経費に使用する予定である。
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Research Products
(15 results)
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[Journal Article] Hama M, Kirino Y, Takeno M, Takase K, Miyazaki T, Yoshimi R, Ueda A, Itoh-Nakadai A, Muto A, Igarashi K, Ishigatsubo Y. Bach1 regulates osteoclastogenesis via both heme oxygenase-1 dependent and independent pathways.2012
Author(s)
Hama M, Kirino Y, Takeno M, Takase K, Miyazaki T, Yoshimi R, Ueda A,
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Journal Title
Arthritis Rheum
Volume: 64(5):
Pages: 1518-28
DOI
Peer Reviewed
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