2012 Fiscal Year Research-status Report
膠原病諸疾患におけるアディポカインネットワークの解明
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23591449
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
川合 眞一 東邦大学, 医学部, 教授 (70129401)
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Keywords | 膠原病 / アディポカイン / レジスチン / アディポネクチン / レプチン / ケメリン |
Research Abstract |
脂肪組織はさまざまな生理活性物質であるアディポカインを分泌するが、申請者らは2010年度までの文科省科研費により、関節リウマチ(RA)患者滑膜細胞に対して生理学的濃度のアディポネクチンがIL-8産生(Biochem Biophys Res Commun. 2009;378:218-223)およびプロスタグランジンE2産生(Arthritis Rheum. 2010;62:1641-1649)を増加させることを明らかにした。このアディポネクチンの例でも明らかなように、糖・脂質代謝と炎症におけるアディポカインの役割には種類によって相互に大きな違いがあることが示唆され、膠原病諸疾患におけるアディポカインネットワークの詳細な検討が必須と考えるに至った。 今回の文科省科研費による研究では、種々のアディポカイン相互の異同や影響を膠原病諸疾患において明らかにし、これらの疾患におけるアディポカインネットワークを解明することを目的とした。そのため、今回の研究計画の対象疾患は、現在まで検討してきたRAに加え、全身性エリテマトーデスなどの膠原病諸疾患を広く対象とした。 2011年度には川崎病(Mod Rheumatol. 2012;22:66-72)の病態形成におけるレジスチンの重要性を示したが、2012年度には膠原病活動期におけるレジスチンの重要性とステロイド療法における変動(Mod Rheumatol. 2013;23:8-18)について明らかにした。また、RA滑膜細胞にはケメリンとその受容体が発現しマトリクスメタロプロテアーゼ-3産生を増加させること(J Med Soc Toho. 2013;60:3-14)、またレプチンはJAK/STAT経路を介してRA滑膜細胞のIL-6産生を刺激する作用がある(Clin Exp Rheumatol., in press)ことを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2011年度には川崎病の病態形成におけるレジスチンの意義を明らかにしたが、2011-12年度にはRA以外の膠原病では活動期に血清レジスチン濃度が高く、むしろアディポネクチンやレプチン濃度は低いことを明らかにした。また、2012年度には、RA滑膜細胞に対してケメリンはマトリクスメタロプロテアーゼ-3などの産生を増加させることを示した。また、レプチンはJAK/STAT経路を介してIL-6産生を増加させることを示した。これらの臨床および基礎的な研究を総合して、膠原病患者におけるアディポカインネットワークの全体像が明らかになりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
前述したように、臨床および基礎的な研究はおおむね順調に進んでおり、2013年度の研究では、これらの知見を統合して膠原病疾患におけるアディポカインネットワークの全体像をさらに明らかにしたいと考えている。そのため、今までの研究で不十分であった点を補うような臨床および基礎的研究を実施したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
計画書通り、2011-12年度の研究で不十分であった点を補うような臨床および基礎的研究を実施するための物品費に使用する予定である。
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Research Products
(9 results)