2011 Fiscal Year Research-status Report
新規サイトカインIL-33によるIL-17Fの発現と喘息との関連
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23591455
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
川口 未央 筑波大学, 医学医療系, 講師 (50365748)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | IL-17F / IL-33 / 気管支喘息 |
Research Abstract |
2001年に我々が発見したサイトカインIL-17F(Kawaguchi et al. J. Immunol. 2001)は喘息患者の気道で高発現しており、様々なサイトカインの産生を誘導することから喘息の治療戦略上重要な標的の一つと考えられている。しかしながら、その誘導因子は不明であった。種々の検討の結果、2005年に発見された新規サイトカインであり、アレルギー性気道炎症を強力に誘導するIL-33がその誘導因子であることを発見した。本研究ではまずIn vitroの実験系でIL-33によるIL-17Fの発現とそのメカニズムを解析する。さらに喘息患者の臨床検体を用いてIL-17FおよびIL-33を定量し、喘息の診断、重症度や治療効果との相関を解析し、有用な臨床的マーカーになり得るか検討する。3年の研究期間で以下3点を明らかにしていく。1.IL-33によるIL-17Fの発現:免疫染色の結果から気道上皮細胞が重要なIL-17Fの産生細胞であることが判明した。気道上皮細胞をIL-33で刺激し、IL-17Fの発現を遺伝子レベルおよびタンパクレベルで検討した2.IL-33のシグナル伝達経路:IL-33によるIL-17Fの発現はIL-33の受容体ST2-ERK1/2-MSK1を介することが判明した。3.臨床的関連:喘息患者、健常者の血清中のIL-17F,IL-33のタンパクレベルの発現をELISAで定量し、喘息の診断、重症度との相関、治療による変動を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の3つの研究のうち「1.IL-33によるIL-17Fの発現」および「2.IL-33のシグナル伝達経路」に関しては終了し、現在論文作成中である。4月に国際英文誌へ投稿した。また、研究内容は日本アレルギー学会秋季学術大会、第8回北関東信越呼吸器フォーラム、第15回アレルギー・気道上皮細胞研究会で発表した。「3.臨床的関連」に関しては現在症例を集めている最中であり、既に喘息患者および健常者計12症例が集まっている。このことから本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は「3.臨床的関連」を中心に研究を進めていく。筑波大学附属病院の倫理委員会において既に承諾されており、同意が得られた気管支喘息患者および職員・学生などの健常者からの血清や誘発痰を用いてIL-17FおよびIL-33の発現をELISAにて検討する。IL-33の蛋白定量には市販品を用いるが、IL-17Fは我々が独自に開発した前述の高感度ELISAシステムを用いて患者サンプル(血清、誘発痰)の蛋白定量を行う。健常者との比較、ガイドラインに基づく重症度との比較、急性増悪時の変化、治療による変化を検討することによりIL-17F・IL-33と気管支喘息との臨床的関連について解析する。健常者10名、喘息患者20名を予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の使用計画として以下を通りである。[1] 消耗品等IL-17F高感度ELISAシステムのために2種類のヒトIL-17F抗体、IL-33 ELISAキット、ELISAプレートなど。[2]旅費研究成果を発表するための学会、研究会の旅費。予定している学会として日本アレルギー学会、日本呼吸器学会学術講演会、米国胸部疾患学会などを考えている。
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Research Products
(4 results)