2011 Fiscal Year Research-status Report
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23591458
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
鈴木 浩太郎 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (90554634)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | NF-kB / IKK / mast cell / p53 |
Research Abstract |
IKK complexを介さない新規のNF-kBシグナル伝達経路を同定し、その役割を解析する過程において、アレルギー性炎症における重要なエフェクター細胞である肥満細胞中で腫瘍抑制分子であるp53がIgE受容体刺激により発現誘導されることを見出した。そして、肥満細胞におけるp53の役割を解析し、以下の知見を得た。1) IgE受容体刺激によりp53の発現が誘導されたが、細胞死は誘導されなかった。2) p53欠損マウス中の肥満細胞数は野生型と同程度であった。3) p53欠損マウスからの骨髄由来肥満細胞(BMMCs)上のc-kitおよびFceRIaの発現は野生型由来のものと同程度であった。4) W/Wvマウスを用いたmast cell knock-in modelにより、p53欠損マウス由来BMMCsのアナフィラキシー誘導能を検討したところ、野生型マウス由来BMMCsよりも強いアナフィラキシー誘導能を有していた。5) p53欠損マウス由来BMMCsは野生型由来のものよりも強い脱顆粒能を有していた。6) p53欠損マウス由来BMMCsではglycolysisの亢進とそれによるIKK2の機能の亢進が認められた。7) p53欠損マウス由来BMMCsではIKK2依存性に脱顆粒を制御しているSNAP-23のリン酸化の亢進が認められた。8) IKK2の選択的阻害剤はp53欠損マウス由来BMMCsにおける脱顆粒の亢進を野生型レベルまで抑制した。以上の結果より、p53はNF-kBシグナル伝達経路において中心的な役割をもつIKK2の活性を抑制することによりIgE受容体刺激誘導性の脱顆粒を抑制し、肥満細胞が誘導するアナフィラキシー反応を負に制御していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでIKK complexはリン酸化により活性が制御されていると考えられていたが、今回本研究者が得たデータはglycolysisがIKK complexの活性制御に生理的にも重要な役割を果たしていることを示唆している。この結果はIKK complex非依存性経路を同定するうえで貴重な知見であり、「研究の目的」の達成度はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
Kinase inhibitor libraryおよびKinome libraryとphosphorylated-IkBa (Ser-32) ELISA systemを用いて新規IKKを同定する計画であるが、kinase自体を大量発現させるKinome libraryでは非特異的なIkBa (Ser-32)のリン酸化がみられる可能性があるため、結果の解釈には注意を要すると考えられる。新規IKKが同定された場合、この新規IKKをノックダウンさせた肥満細胞を用い、NFーkBシグナル伝達経路における新規IKKの役割を解析する。さらに新規IKKの遺伝子欠損マウスやトランスジェニックマウスを樹立し、in vivoにおける新規IKKの役割を解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
Kinase inhibitor library使用のための各種kinase阻害剤、Kinome library使用のための大腸菌によるたんぱく合成および純化システム、phosphorylated-IkBa (Ser-32) ELISA system使用のための特異抗体、およびスクリーニングに用いる細胞培養液、NF-kBシグナル解析のための各種特異抗体、ならびにウエスタンブロッティングのための各種備品、新規IKK遺伝子欠損マウス作成のためのES細胞培養液などに研究費を使用する予定である。
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