2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23591458
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
鈴木 浩太郎 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90554634)
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Keywords | 肥満細胞 / NF-kB / IKK complex |
Research Abstract |
【背景・目的】NF-κB経路は、自然免疫と獲得免疫の両者で様々な役割を果たす重要なシグナル伝達経路である。NF-κBはIκBαと結合することにより細胞質に存在し、その活性が抑制されているが、刺激によりIκBキナーゼ(IKK complex)が活性化されると、IκBαが分解され、IκBαによりマスクされていたNF-κBの核移行シグナルが露出し、核に移行し標的遺伝子の転写を誘導する。IKK complexはIKK1,IKK2,NEMOにより構成され、IKK complexによるIκBαのSer32とSer36のリン酸化がIκBαのプロテオソームによる分解とそれに続くNF-κB依存性遺伝子の転写誘導に必須と考えられていた。しかし、IKK complex非依存的なNF-κBの活性化制御機構が存在するか否かは不明であり、この制御機構を明らかにすることを本研究の目的とした。本年はFcεRIからIKK2活性化に至るシグナル伝達経路の詳細を明らかにするため、カルシウムイオノファーA23187刺激時の肥満細胞の反応をIKK2KOマウス骨髄由来肥満細胞を用いて解析した。【結果】1) A23187刺激により野生型マウス骨髄由来肥満細胞(BMMCs)においてはIKK2のリン酸化とIκBαのリン酸化が認められたが、IKK2KOマウス由来BMMCsにおいてはIκBαのリン酸化は認められなかった。2) A23187刺激誘導性のサイトカイン産生および脱顆粒はIKK2KOマウス由来BMMCsで減弱していた。3) 上記1),2)の実験時におけるPKC阻害剤の効果を検討したが、A23187刺激時の肥満細胞の反応にPKC阻害剤は無効であった。【結果の意義】FcεRIからIKK2の活性化に至る伝達経路として、PKCを介する経路のみではなく、カルシウムを経由する経路が存在することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
IKK complex非依存的なNF-κBの活性化制御機構が存在するか否かは不明であり、この制御機構を明らかにすることを本研究の目的としている。本年はFcεRIからIKK2活性化に至るシグナル伝達経路の詳細を明らかにするため、カルシウムイオノファーA23187刺激時の肥満細胞の反応をIKK2KOマウス骨髄由来肥満細胞を用いて解析した結果、FcεRIからIKK2の活性化に至る伝達経路として、PKCを介する経路のみではなく、カルシウムを経由する経路が存在することが明らかになった。この結果よりIKK complex非依存的なNF-κBの活性化制御機構を解析するうえで、PKCを介する経路のみではなく、カルシウムを経由する経路も考慮する必要がでてきた。肥満細胞には、FcεRI刺激によりIκBαのSer32のリン酸化とp65の核内移行を誘導するIKK1/IKK2非依存的なIKKキナーゼが存在することを我々はすでに確認しているが、本IKKキナーゼの活性化がPKCを介する経路によるものか、それともカルシウムを経由する経路によるものか、明らかにすることが今後の課題となった。一方で、この未知のIKKキナーゼの活性化をA23187やPMAといったchemicalにより見れる可能性も同時に浮上し、もしそれが可能となれば本研究を進める上で大きな利点となる。以上より現在までの達成度はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒトのgenome上には518のkinaseが存在すると考えられておりKinomeという総称で呼ばれている。さらに近年、38種のkinase inhibitorの抑制スペクトラムが明らかにされている。そこで今後は、IgEレセプター刺激によるIκBαのSer-32のリン酸化に対する各種kinase inhibitorの抑制能と新規IKK候補によるIκBαのSer-32のリン酸化能を指標に新規IκBα kinase(IKK)を同定する。i) kinase inhibitorとphosphorylated-IκBα (Ser-32) ELISAによる新規IKK候補の絞り込みIKK1/IKK2ダブルノックアウト(DKO)マウスの胎児肝臓からfetal liver-derived mast cells (FLMCs)を調整し、IgEレセプター刺激によるIκBαのSer-32のリン酸化に対するkinase inhibitor (38種)の抑制効果を検討し、kinome内から新規IKK候補の絞り込みを行う。ii) kinome libraryとphosphorylated-IκBα (Ser-32) ELISAによる新規IKKの同定上記のkinase inhibitorによる抑制効果より絞り込まれた新規IKK候補を米国ORIGENE社より入手し、各新規IKK候補がrecombinant IκBαのSer-32をリン酸化するか否かをphosphorylated- IκBα (Ser-32) ELISAを用いて検討する。IκBαのSer-32とSer-36の双方をリン酸化するIKK1とIKK2を本実験系の陽性コントロールとして用いる。上記研究により新規IKKの同定が可能となる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究の達成には、平成25年度に、制限酵素等の分子生物学的な試薬(30万円)、トランスフェクション関連試薬(30万円)、マウスの購入(20万円)、マウス飼育関連費(30万円)等、計110万円の消耗品費を必要とする。 一方、本学では、研究スペース、SPF環境下での動物飼育施設、P2施設等の設備は整っている。また、予定している研究に必要なマルチカラー解析が可能なフローサイトメーター(FACSCantoII, BD社製)、サスペンションアレイシステム(BIO-RAD社製)、Real-time PCR解析機、キャピラリー式DNAシークエンサー等の設備も既に本学内で準備されているため、科学研究費補助金を大型機器等、備品の購入等にあてる必要は生じない。 また本研究は、本研究者と大学院生によって施行されるため、科学研究費補助金を人件費として使用する予定もない。研究発表等に必要な旅費も公費を使用する予定であり、科学研究費補助金を使用する予定はない。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Therapeutic potential of B and T lymphocyte attenuator expressed on CD8+ T cells for contact hypersensitivity.2013
Author(s)
Nakagomi D, Suzuki K, Hosokawa J, Kobayashi Y, Suto A, Takatori H, Watanabe N, Matsue H, Murphy TL, Murphy KM, Shimada S, Nakajima H.
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Journal Title
J Invest Dermatol.
Volume: 133
Pages: 702-711
DOI
Peer Reviewed
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